(二)-2

 503号室の住人は、竹浦さんといった。アラフィフの旦那さんが一六歳も年下の三一歳になった若い奥さんとともに住んでいた。ここの旦那さんはクリーニング店とコインランドリーのフランチャイズオーナーで近隣に数店舗を構える会社を経営する人だった。四〇歳で脱サラして今の仕事を始めて最近ようやく仕事にも余裕が出てきた。隣の三川さんの奥さんと関係を持ったのも、そういう余裕のせいなのだろうか。

 エレベーターホールの角を右に曲がり、数歩進んだところにその部屋の玄関ドアがあった。私はその前を通り過ぎた。


(続く)

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