7. 売られた花嫁(7)
・・・薄暗闇の中で横たわっていた。
ぼんやりと明るい方に首をめぐらすと、大きな木の十字架がスポットライトの光を受けて薄暗闇の中に浮かび上がっている。
十字架の直下の祭壇の前に、濡れたウエディングドレスのまま横たわっていたのだ。
起き上がろうとした。
が、・・・できない。
頭の上方で両手が縛られている。
首だけ持ち上げると、左胸のあたりに赤い血が滲んでいるのが見えた。
股間にむず痒いような鈍痛を感じた。
縛られた両手を下して下腹をさぐると、ウエディングドレスがたくし上げられ、下着がなくなっている・・・。
その時、閃光が走った。
足元にしゃがみ込んだ神父が足元でカメラで連写した。
下半身をよじり、太腿をきつく閉じたが、・・・もう遅い。
カメラを下ろした神父が、下卑た笑いを浮かべた。
神父は、縛られた両手を握り、白壁に沿って引きずった。
突き当りの木戸口を開け、担ぐようにして真っ暗な階段を下りた。
湿ったカビの匂いがした。
ここはどうやら地下室のようだ。
階段が尽きたところで放り出され、しばらくすると天井に灯りがついた。
地下室ながら、それなりの広さがあった。
窓はどこにもなく、左手と正面の壁は白地に花柄をあしらった厚地のカーテンで被われ、左手の角には白い大型冷蔵庫があった。
階段すぐ右手のベッドに、純白のウエディングドレス姿の女が横たわっていた。
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