病院へ連れてく

帰りの朝、神埼はトイレで唸っていた。お腹を壊したのだ。正露丸を飲み車を止めてある

駐車場へ向かった。帰りは中川が運転した。

神埼は寒気がして、身体にタオルケットを羽織った。

「神埼さん、名古屋についたら病院行きますからね」

「ありがとう」

「絶対、胃腸風邪ですよ」

「僕もそう思う」


【斎藤クリニック】


「私は待ち合い室でまってますから」

「う、うん」


「神埼さん、診察室にどうぞ。熱計りましょ

う」

と、看護師に言われた。


診察室には白髪の男性医師が座っていた。

「何、なに。下痢か~。いつから?」

「2日前からです」

看護師が、

「熱は38度7分です」

「神埼さん、これは胃腸風邪だね。熱が高いから、ボルタレンを座薬で入れるから。ベッドに横になって」

神埼はベッドの上に横になった。

看護師が、ズボンと下着をさげますね~と言いながら神埼のお尻が露になった。

今日初めて出会った人に肛門を見せるとは。


医師が座薬を持って、ボルタレンを挿入しようとした。

「神埼さん!」

「は、はい」

「おたく、汚え《きたね》ケツしてるね。クソした後ちゃんと、拭いてる?」

「は、はい。一応」

「じゃ、入れるよ~」


待ち合い室へ向かった。

「神埼さん。どうでした?」

「胃腸風邪。熱が高くて座薬入れられた!」

「今夜は、看病します」

「いいよ!風邪移したら大変だ。そして、大倉君に悪い」

「でも……」

「大丈夫。家まで運転お願い」

中川は神埼を家まで送り、市バスで帰って行った。

座薬を入れても、39度近く熱が上がった。

楽しい旅行の思い出が最悪な結末を迎えた。

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