真実
神埼は話の内容を理解でなかった。総務課の大倉とは同期なのだ。
「い、いつから大倉と付き合っているんだ?」
中川はきょとんとして、
「2年前からです」
「僕は知らなかったよ!」
「秘密の恋ですから。あっ、誰にも言っちゃだめですよ!」
神埼はタバコに火をつけて、心を落ち着かせようとした。
「彼氏がいるのに、何故、2人だけの旅行に来たの?」
「大倉さんが、神埼さんは安全だし、トランスジェンダーの話をキチンと理解してくれるから、って言われたのでチャンスだと思い旅行に来たんです」
神埼は灰皿にタバコを押し付け火を消した。
あっぶね~、結婚前提で告白するところであった。
僕はピエロだ!サーカスのピエロだ!
一人で盛り上がっちゃった。
「大倉とは、どこまで進んでいるのかな?」
中川は嬉々として、
「いま同棲してるんです」
「へ、へえー」
「神埼さんは、誰か気になる子いるんですか?」
【さっきまで、君が好きだっんだ!】
「僕は。な、夏木マリが好きなんだ」
「誰ですか?」
「いずみちゃん、僕を笑ってくれ!うんこ漏らした事と君に彼氏がいる事を知らないで旅行に誘った事を」
「大丈夫です。旅行の事も秘密にしますから」
「う、うん」
「神埼さん、今夜はとことん飲みましょう」
「そうだね。大倉との同棲がバレたらどうするの?」
「私は会社を辞めて、専業主婦になります」
「ふーん。秘密の恋ね~」
「神埼さん、病院行ったがいいですよ」
「何で?」
「お腹弱すぎ」
この晩のビールは一際、ほろ苦かった。
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