第4話:人材選別は雇用人材を失う ①

 今の日本にはさまざまなビジネスが存在している。しかし、これが競争社会において良い意味でも悪い意味でも相互作用を生んでいることは言うまでもないだろう。ただ、この相互作用がどの程度うまくいっているのかという部分においては議論する余地がある。そして、この問題が日本のいい製品を作り出しているならいいが、裏を返すと人材選別が進んでいき、競争社会に勝てるような人材を選ばなくてはいけない状態になる。その結果、そこからあふれてしまった人たちは路頭に迷うことになり、新たな環境を求めてもうまくいかない場合が多い。しかし、このような状態になったとしても国も周囲も手を差し伸べることはないし、「働けないのは自己責任だ」と突き放される。特に、今は求人よりも解雇・希望退職を募って、現在展開している事業が滞らないように資金繰りをする。これは会社の生き残る術としてどの企業も行うが、やり方が適正でないと労働者側からクレームが入ってしまう可能性がある。しかしながら、日本というのは上の人たちに意見を言うことは非常識とされているため、不当解雇されたとしてもあまり労働基準監督署などへの告発や警察へのハラスメントの相談などをしても動いてもらえない。そして、たいていの場合は「問題ないから次に進みなさい」という他責思考が働いてしまうことになり、その人の立場に立って考えるということが出来ない人が多い。


 そのため、他者の苦しみを共有するのではなく、切り離してしまうのだ。しかし、自分が苦しんでいるときは依存しているかのごとく他人に助けを求めるという矛盾が存在している。


 私はもっと相手の立場に立つべきだし、困っていることを全力で解決することが大事だと思う。ビジネスとはいっても社員がいないと会社が成り立たないし、正当な理由がないと解雇などをすることは出来ない。


 今の日本には雇用や就労に関するチェック機関が十分に機能していないように感じる。例えば、不当解雇が横行する背景に“どうせ労基には相談されないだろう”や“こういう理由にしてしまえば労働基準監督署は信じてくれる”という会社の優位性を利用して、労働者をコントロールしているような印象だ。そして、正規雇用であっても事実をカモフラージュする事であたかも解雇された労働者に非があるように見せることが出来る。そのため、企業(会社)側がいい人が辞めるとなったときには引き留めるが、そうでない人の時は勝手に辞めさせる、勝手に処分するという法令違反の行為が横行しているのだ。


 もっと、厚生労働省などが職場監視を強化し、そのような相談をしやすい環境を整備するべきだろう。特にこの社会情勢における労働環境の変化が大きいこの状況下では最も注意しなくてはいけない行為であり、これら行為が恒久化することで雇用のパワーバランスが崩壊し、これらの行為が正当化もしくは定常化する事は避けなくてはいけない。

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