第47話 一個だけ懺悔!⇨ うん、知ってる
ファミレスを出た後、駅前のモールを散策した。
「ふ〜、たくさん食べた〜。こんなに食べたの久しぶりだよ〜」
「心菜も本気を出したら人並みに食べられるんだな」
「お兄ちゃんと一緒だから美味しいんだよ」
「模範的な妹かよ」
女性向けのアクセサリー屋がある。
一個千円とかで売っている廉価なお店だ。
「せっかくだし何か買っていくか」
「いいの?」
「もちろん。擬似妊娠を試せたからな。研究に協力してくれたお礼みたいなものだ」
心菜がネックレスを
気になるのが三種類あって、甲乙つけ
「どれが私に似合うと思う?」
「そうだな……」
愛理は真ん中のネックレスを指差した。
「じゃあ、これを買ってもらおうかな〜」
「はいよ」
レジでお会計を済ませた。
値札を外してもらい商品だけ受け取った。
心菜を鏡の前に立たせる。
後ろからネックレスを付けてあげる。
ありふれたピンクゴールドの首飾りだけれども、心菜は金メダルをもらったみたいに嬉しそう。
「お兄ちゃん、その……」
「どうした?」
「また心菜とデートしてくれる?」
「そうだな。次はもう少し遠くまで行ってみるか」
駅のホームへ向かった。
次の電車まで十五分くらいある。
心菜をベンチに座らせて自販機のカフェオレを買ってきた。
「ほらよ。たくさん食べたから喉が渇いただろう」
「ありがとう」
心菜が美味しそうにカフェオレを飲む。
「お兄ちゃんって、その、学校とかで他の女の子とキスするの?」
「キスか。リアルの方はしない。VR空間じゃなければ手をつなぐことすら滅多にない」
「そうなんだ。意外……」
心菜が逡巡するような素振りを見せてくる。
兄妹でキスしたいのが丸分かり。
「心菜、キスしようぜ」
「えっ⁉︎」
「俺がしたいんだよ」
「それは……」
「嫌ならやめとく」
膝にのせた心菜の手が震えている。
「私もキスしたい」
「それじゃ……」
心菜の肩を抱き寄せた。
ホームの人影が少ないのを良いことに軽くキスを交わした。
心菜の生きる糧になればいいなと。
心菜を楽にできたらいいなと願いながら。
「私、お兄ちゃんのことが好き」
「俺も心菜のことが好きだよ。だから心菜は生きているだけでいい」
「うん、ありがとう」
心菜が自分のお腹を気にしている。
擬似妊娠した時の感触を思い出しているのだろう。
「ねぇ、お兄ちゃん! 一個だけ
「どうした?」
「私ってお兄ちゃんのこと想像しながら自慰にふけている。たぶん今日のことを思い出しながら今夜もコシコシしちゃう」
「うん、知ってる」
「だから正式に許可をもらいたくて。今後もお兄ちゃんを想像しながらイってもいいですか?」
「おう、好きなだけやれよ。心菜にはその権利がある」
「ありがとう。愛してるよ、お兄ちゃん」
俺も愛している。
そう伝える代わりに手の甲にキスを落としておいた。
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