第26話 世界観の説明
以前書いたことがある。
世界観の説明はなるべく避けろと。
これに関しては、正直、わたし自身悩む部分もある。
世界観を把握していた方が物語を理解しやすくなるからだ。
「場所は?」
「地球? 異世界?」
「文明はどれぐらい?」
「主人公は人間なのか?」
誰かの作品を読んでいるとき、さまざまな疑問が浮かんでくる。
これらが妨げとなり、物語がスッと頭に入ってこなくなるのだ。
作者同士の読み合いなんかでもよく指摘されている。世界観をもっと描いたほうがいいと。
まったくもってその通りだと思う。
前提条件が違えば受け取り方も変わってくる。
人間かどうかで移動距離に対する感覚もかわってくるし、文明の成り立ちによっては行動ひとつとってみても難易度は変わる。
作者と読者が、それらのすり合わせのタメに世界観を共有する必要がある。
だからこそ、最初に世界観を提示してやることが読み進めてもらうために重要なのだ。
しかしだ。
この世界観の提示、注意が必要である。
なぜなら執筆する者と純粋な読者では、求める情報量に差があるからだ。
この差とは一体なんであろうか?
作品を書いたことがあるから?
執筆者は文章力や構成力といった、技術に目をむけがちであるから?
いや、違う。
わたしが思うに、もっとも大きな違いは、何のために作品を読むかだ。
たとえば読み合い。
自主企画、参加者どうし、感想を書くこと前提で読み進める。
わたしも同様だ。読んだからにはなんらかの感想を残したいし、評価もつけたいと思う。
この感想を書くことを前提とした読み方が、純粋な読み手と違うのだ。
感想を書くためには世界観をあるていど把握しておかねばならない。
的外れな感想は失礼だし、そもそも読んでないと見なされる可能性もある。
それに比べ読者が作品を読むのは、純粋に楽しみたいからだ。
数あるネット小説の中で、自分が気に入る作品を探しているのだ。
その際、なにを基準に選ぶか。
それは作品が面白いか、面白くないかだ。
面白ければ読み続けるし、面白くないと感じれば読むのをやめる。
ある意味、損切りのタイミングをはかっているとも言える。
だから読者が求めるのは、面白い、あるいは面白そうと思えるのに必要な最低限の世界観だ。
世界の成り立ち。
物語のバックボーンとなる伝説。
宗教や社会情勢。主人公の家族構成。
そんなものは最初の時点では求めていない。
状況が理解できる程度の情報だけで十分だ。
読者はまず一話みて、読めるかどうか判断する。
読めれば二話に進み、面白いかどうかを探っていく。
そして、三話。多くの読者がこのあたりで見切りをつける。
続きを読むのをやめ、他の作品にうつっていく。
そんな感じではないだろうか。
だから世界観の説明はなるべくおさえて、三話以内で面白さを伝えねばならない。
ダラダラと世界観の講義をしているヒマなどないのだ。
ちなみに、流行りに乗った作品、テンプレといったものは先の展開が約束されているとも言える。
三話で面白さを表現しなくとも、もう少し読んでもらえるような気がする。
……たぶん。
では次回。
どのようにして世界観を伝えればいいか、一緒に考えていきたいと思いま~す。
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