二章 読まれるタイトルとは

第5話 読まれるかどうかはタイトルで決まる

 露出を多くしたあと、いかに読まれるかだが……

 ズバリ作品のタイトルがすべてだ!


 読者はタイトルを見て読むかどうかを決める。

 どんなに中身がよくてもどうにもならん。あらすじすら見てくれないからな。


 で、なろうの人気タイトルを見てもらったら分かるが、どれも長い。

 あ、昔の作品はだめだぞ。それに実績のある作家の作品も。

 こいつらはタイトルの長さに関係なく読まれるからな。絶対マネしちゃだめだ。


 たまにな、なろうの上位はシンプルなタイトルだ、みたいなことを言うやつがいるが、あれは実績あってのことだ。

 昔はたしかにそれでも読まれた。だが、今はまず無理だ。

 タイトルに関係なくランキングまで押上げてくれるサポーターがいない者は、とにかく長いタイトルをつけるしかない。

 これは真理だ。

 たとえばひとつの作品がある。これをシンプルなタイトルから、今風の長いタイトルに変える。アクセスが数十倍になるから。

 俺自身何度も実験した。ほかの人もおんなじだ。

 ようは違う作品同士くらべても意味がないんだ。「これ短いタイトルだけど人気あるよ」みたいな意見は絶対聞いちゃいけない。

 中身まったく同じで、タイトルが変わったらPVが増えた。この結果に勝るものはない。惑わされるんじゃないぞ。


 このタイトルだが、あるひとが当たり判定って言ってた。

 シューティングゲームみたいなもんで、マトがデカけりゃ当たりやすいよねって笑い話。

 でもこれ正解なんだよね。

 スマホってタップじゃん。タイトル長いほうがタップしやすいよね。

 だから物理的に有利なの。視界にも入りやすいし。


 もちろん、そんなものはちょっとした違いにしかすぎない。

 もっとも大事なのはべつ、「読者がタイトルから物語を連想できるか?」ってことだ。


 一般書籍のタイトルは短いものが多い。

 「手紙」「ダビンチコード」など、物語のキーになる単語をタイトルにもってくる。

 でもこれではどんな内容かさっぱり分からない。WEB小説ではだめなんだ。

 よく伝わりやすい文章は「5H1W」だとか言うだろ?

 When(いつ)Where(どこで)Who(だれが)What(なにを)Why(なんのために)How(どうやって)みたいなやつだ。

 あれに似たようなもんだ。

 タイトルでキッチリ説明してやらなきゃならない。


例1

「宮廷魔導師、追放される ~無能だと追い出された最巧の魔導師は、部下を引き連れて冒険者クランを始めるようです~」

 いまランキングに乗っている誰かの作品だ。


 このタイトルから分かるのはまず「宮廷魔導師(どんな主人公)が追放される(なにをされた)か? 部下を引き連れて冒険者クランを始めるようです~(その後どうしたか、どうやって巻き返したか)」

 だな。


例2

 もうひとつランキング作品

「Fランク冒険者の成り上がり、俺だけができる『ステータス操作』で最強へと至る」


 これも「Fランク冒険者の成り上がり(どんな主人公がどうなったか?)、俺だけができる『ステータス操作』で最強へと至る(どんな力をどう使ったか)」

 がわかる。

 ようはうだつの上がらない主人公が、隠していた力によってメッチャすごくなった。

 みたいなのが説明されとるわけだな。


 不思議とな。これ、ストーリーだけじゃなくて物語の雰囲気みたいなものが伝わってくるじゃろ?

 なんか独特の臭みみたいなものが。

 これが読者を引きつけるんだ。


 似たようなタイトルなのに読まれているものと読まれてないものがある。

 この差は匂いだと思う。タイトルから伝わってくる作風ってやつ?

 マネするのは難しいけどな。それに自分の作風と合ってなかったらアクセスされても評価されんし。

 いろいろと考えるしかないわな。

 

 とりあえずタイトルの重要性は理解していただけただろうか?


 よく、なろうはテンプレばっかりって言うじゃん。

 例を見てもらえば分かるだろうけど、なろうでよく見る世界観じゃないと、どんな物語かタイトルで伝わらないんだよね。

 オリジナリティーのある世界観はどんな世界設定なのか説明しなきゃなんない。

 それをするのが、あらすじだったり物語の冒頭だったりするんだけど、WEBだとそこまで読んでもらえないんだよね。


 だから結果としてなろうの世界観に沿った作品だけが残る。

 そればかりが目についてしまう。


 読者は時間をむだにしたくないんだ。しょうがないよね。

 前回言ったけど、知っている、安心できるにはなかなか勝てないんだ。


 そういや食堂のメニューにたとえている人がいたな。

 「からあげ定食」はそれだけで中身がわかる。

 それにひきかえ「モンドリアーヌのメラシア風ポタント炒め」みたいなのは炒めていることしか分らんて。

 そりゃ選ばないよねと。

 ワシもそう思う。


 馴染みのメニューばっかりのところにそんな変わり種が一個あったらチャレンジするけど、そうじゃない、見たことないものばっかなんだ。

 外国でワケのわからないメニューの中にハンバーグ定食とかあったら安心するだろ?

 みんなそれ選ぶんじゃないか?


 とりあえず今回はこのくらいにしておこうか。

 最後におさらい「タイトルは現状から未来への変化を書くべき。それもよい方向へ変わるやつ」

 ちなみに整合性はいらないぞ。あたまにタンポポが咲いているような感じで十分だ。


 次回はこのタイトル。

 どうやってつければいいか、具体的に考えていきたいと思います。



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