第24話 こつこつ稼ごう
夕食の後片付けをして、早々にテントに引っ込んだ。
テント泊をして気付いたのだが、このテントの結界は魔獣や魔物を排し、その攻撃を弾くことが出来るだけではなかった。
テントの入り口を閉めると、外の音が遮断されるのだ。小動物や魔獣の鳴き声をシャットアウトできるので、静かに休める。
「山キャンプだと、地味に虫の音や早朝の鳥の鳴き声がうるさいもんな……」
同じ結界内でも、タープの下だと「外」として認識されるのか、夜の魔獣の遠吠えや
それなりに風情があるが、たまに魔獣同士の争う音や悲鳴まで届くので、早々にテントの中に引っ込むことにしたのだ。
テントの中では楽なスウェット姿が定番だ。
地球と同じく、この世界でも季節は五月頃──初夏の時期だろう。日中は少し汗ばむくらいだが、夜から早朝にかけては少し冷える。
今はフリースのブランケットと寝袋のおかげで快適に眠れているが、今後を考えると、なるべく早く
「この魔法書によると、大森林内では四季があって、しかも梅雨があるのか……」
森の中だから、日本の酷暑ほどの気温にはならないだろうが、なるべく快適に過ごせる環境は整えておきたい。冬を越す準備はさらに大変だ。
ステータスボードから確認した、
「内容はピンキリだけど、物置きに毛が生えたような倉庫から、タイニーハウス 、コテージ、コンテナハウスまであるのか」
購入できるレベルは幾つからだろう。
しかも、ポイントはかなり必要そうだ。
「倉庫は家じゃないな。小さすぎるし、夏は暑くて冬は寒い。タイニーハウスは面白そうだけど」
まだ
14平米の家なら、【アイテムボックス】で持ち運ぶことも出来る。お値段なんと150万ポイント。
ふざけんな、とも思うが、家を買うとしたら、そのくらいは必要か。
「でも、これだとガワだけなんだよなー…。風呂は厳しいにしてもトイレとキッチン設備は欲しい」
オプション50万ポイントを追加すれば、シンク付きのキッチンとトイレ、ロフトがプラスされるようだ。
「200万か。大森林が梅雨に入るまで1か月として、毎日7万ポイントを稼いでいけば、手が届く額だけど……」
問題は1か月で
「まぁ、やるしかないか。最悪、梅雨は土魔法のレベルを上げてどうにか凌いで、冬までにレベル上げとポイント貯金だな」
まさか、こんな年齢で持ち家について頭を抱えることになろうとは思いもしなかった。
「でも、物件眺めるのは楽しいかも?」
物置き倉庫は5万ポイント、納屋なんてのもあるのか。8畳サイズの納屋が70万。
納屋はコンクリートの床で、平家風の建物だ。
夏は涼しいし、梅雨はしのげそうだが、冬は間違いなく凍死するだろう。うん、これは却下だな。
「コンテナハウスが400万か。風呂トイレキッチン付きなのは素晴らしい。しかも暖炉まで!」
家としては手狭だが、一人暮らしなら充分な広さだろう。諸々の設備が揃っているのも高得点。
家具類は付いていないが、ロフトがあるので、そこに布団を敷けば立派なベッドになる。
タイニーハウスも捨てがたいが、何よりコンテナハウスには、バスタブが付いているのだ。
「タイニーハウスと比べて、ポイントは倍になるけど、どうせならコンテナハウスだよなー。収納できる大きさだし、暖炉があるし」
冬の暖房問題が、暖炉さえあれば一挙に解決するのだ。薪なんて、そこらじゅうに生えている木のおかげで無料で手に入る。
ちなみに、コテージはかなりデカい。
二階建てで5LDK風呂トイレキッチン暖炉付きの良物件だが、3000万ポイントだ。
うん、元々買う気はなかったが、無理すぎる。住み心地は良いんだろうけれど、一人暮らしには贅沢すぎた。
「……とりあえずはタイニーハウス購入を目指して、明日から頑張るか」
日中に採取したり、狩った獲物をポイント化していく。キノコや野草、木の実類は自分で消費するため確保して。
「結構倒していたみたいだな。57匹分の素材と魔石はポイント化して、食用の肉はこっちで確保しておこう。あ、それと邪魔だから切り倒した木材もポイント化できるのかな」
収納内に13本あった大森林産の木々は、1本が5000ポイントに変換された。
「え、嘘だろ? これはかなり美味しいんじゃないか……?」
そこかしこに生えている木々を、毎日10本ずつ伐採するだけで、5万ポイントになる。
今日倒した魔獣や採取物は6万ポイント以上あったので、13万ポイントは稼げていた。
「アイツらの買い物分の3万を引いても、10万ポイントは稼げそうだな」
こつこつ稼げば、コテージハウス
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。