第28話 情意投合

 結局話し合った結果、これから先付き合っているのかどうかを聞かれたら答える、といった感じにして、自ら広めはしない、との結論になった。



 結局、次の日すぐ俺たちの関係は広まることになるのだが………



 「ねぇ!どうやって彼女を落としたの???」

 「やっぱ入学初日……いやそれより前から付き合ってたんか??」

 「つれないなぁー少しくらい教えてくれよー!」

 「妬ましきことこの上なし………」

 

 教室に入るやいなや、俺はクラスの友人たちに囲まれて質問攻めにあった。


 灯花をチラッと見ると、ごめんね、と言いたげにいたずらに少し舌を出しつつも申し訳なさそうな表情をしていた。

 



 色々あって、この日俺は灯花とは放課後まで殆ど会話することなく一日を過ごすこととなった。


 結局質問攻めをしてくるクラスメイトをどうにか躱しきり、どうにか放課後までたどり着けた。

 

 灯花もまだ教室に残っていたので、一緒に帰るべく声をかけることにした。

 ここまで来れば、もう周りのことなど一ミリも気にしてはいなかった。

 


 「一緒に帰ろう」

 「一緒に帰ろっか」


 ………どうやらお互いに同じことを考えていたらしい。

 

 「あはは!息ぴったり〜こういうのを意気投合とか、情意投合じょういとうごうって言うんだっけ?」


 「そうだな、確かお互いの気持ちや考えが通じ合うことだったよな。情意が意思と感情、投合がピッタリ合うことを指すんだっけ」

 

 「ん〜やっぱさっきのはたまたまかもしれないね、心が通じ合うには、もっと相手のことを知らなきゃね。涼のこと、まだ知らないことだらけだから、これからもっと知っていきたいかな!」


 「それはお互い様だろ」


 お互い自然な笑みが溢れた。

 


 ──まだ教室に残っているクラスメイトたちは、良いものを見せてもらったと健やかな顔をする女子生徒と、今にも嫉妬で気が狂いそうな男子生徒の二極化が始まりつつあったのは言うまでもない。



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