第24話 春風駘蕩
「次の休みの日、暇だよね??」
高校に入学してから最初の休日、俺はいきなり遊びに誘われた。
「いいけど、どっか行きたいところあるの?」
「うん!最近できたらしいカフェに!!」
「いや、それなら女友達とかでもいいんじゃ?」
「……まぁクラスの女の子たちとはもう放課後にカラオケとか色々行ったからね」
「そういうことなら、分かったよ」
LINEであれこれやりとりした結果、彼女がカフェに行きたいらしく、まぁそれくらいなら全然良いかなと思い、快く快諾した。
「おまたせ〜いやー天気が良いね!これこそまさしく
「春の景色がのどかで、春風が気持ちよく吹いている……まぁ今日にはぴったりの言葉……か」
「なんか反応悪ーい!」
ちくしょう、休日の秋風灯花、やはりクソ可愛い。まず、普段の学校の時と違い、後ろで結んでポニーテールにしているのがものすごく似合っている。加えてそのゆるふわっとした服装も彼女の可愛さを全面に押し出している。そして、制服の時には完全に分からなかったがどんな格好でも一通り着こなしてしまうのではないかとも思えてしまうスタイルの良さ。そりゃ健全な男子学生が落ちてしまうのも納得だ……。
「ちなみにこの言葉、温厚でのんびりした人柄を指す時にも使われるんだよ、知ってた?なんかこれって、涼君にピッタリじゃない?」
「そーかもな」
そう笑いながら話す彼女が余計に可愛く見えた。ダメだダメだ、もし彼女に変な気を起こしてしまって噂になったら俺の悠々自適な高校生活が確実に終わる……。
あれ?というかこれ二人きり?デート??クラスの人間に見られたらまずいのでは???
「さっ!目的地は近いから、早く行こっか!」
いきなり腕をグイッと掴まれて、容赦なく連れていかれる。想像以上に強引だ。まぁ悪い気はしないけど……
「…………んーなんか涼君、疑心暗鬼になってたりする?」
「どうして???」
「初っ端からなんか元気がない。なんかおかしい。」
どうやら俺の様子がおかしいと思って気を遣ってくれているようだ。こういうところ、昔から変わってないよな。こんな風に周りにも気を配れるところが、彼女の人気の一つなのかもしれない。
「いやいや、こうやって話してるだけでも楽しいよ?単に俺があんまり人と外で遊ぶ機会が無くて慣れてないってだけで……まぁでも灯花がいきなり遊びに誘ってくれるとは思いもよらなかったけどね」
「なんだ、良かった!私からぐいぐい誘って迷惑なのかなと思っちゃった。」
「そんなことないよ、正直すごく感謝してる」
「ありがと!………で、誘った理由が新しいカフェに行きたいってのともう一つ、ちょっと相談に乗ってほしいことがあってね………」
あぁ、どうせ好きな人が出来たから相談乗ってほしい……みたいなやつか。仕方ない、幼馴染のよしみで一肌脱いでやりますか。そう思った俺はこの時少し彼女の顔が曇っていたことには気づかなかった。
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