第19話 満身創痍

 「もう満身創痍なんですけど〜!助けて下さいまし〜!!」


 「ダメですお嬢様、少なくともここまでは今日中に終わらせていただきます!!!」


  

 いつにもまして張り切っている莉菜に問題集を並べられた。


 「とりあえず、多少解けなくても良いですので、まずこれをやってください。」


 「はーい。…まずは… 『四面楚歌しめんそか』ね、これは確か四方から楚の歌が聞こえて、もう周りが敵に落ちてしまったと思って逃げたことから…孤立した状況下のことね!」


 「次は… 『一喜一憂いっきいちゆう』ね、これは簡単ですわ!字面から、一つのこと喜んだり憂いたりすることですから、状況に振り回されることですわ。」


 「さて… 『桃紅柳緑とうこうりゅうりょく』はそのまま紅い桃の花と緑の柳を指すから…美しく彩った春の景色よね。」

 

 「お次は…『永永無窮えいえいむきゅう』は無窮が限りないことを指して、永永は果てしない…とかで大丈夫だったはずよ。ということはいつまでも長く果てしなく続くさま、こんな感じで良いかしらね。…いつまでこれ続くのかしら。」


 「これは…『乾坤一擲けんこんいってき』ね、中々難しいけど記憶に残ってて助かったわ!乾坤が天地を表していて、一擲が賽を一回投げることよね。ざっくり言うと天に運任せして博打大勝負に出ることね!!」


 「『満身創痍まんしんそうい』は…満身が体全身のことを指して、創も痍も確か…傷のことよね。つまり、身体中が傷だらけになる、精神的に傷ついたり、苦しんだりすることね。」


 「いいじゃない私にしては良い調子… でもこれ、問題数多すぎない…?」


 「あら、もう根をあげるのですかお嬢様?」


 「…私がいつそんな事を言いまして?(そんな事言われちゃやるしかないじゃない、こうなったらやってやるわよ!」




 

 

 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る