第18話 extra2 臍を噛む

 普段あまり人が訪れない宮殿の図書室に、柚莉愛はいた。彼女には目的があった。そう、メイドの莉菜をぎゃふんと言わせたいがために、こうして図書室で調べ物をしていたのであった。



 「さて、お嬢様、本日もきっちりお勉強をしていきましょうね!」


 「ちょっと待って莉奈、前回あんな難しい熟語を勉強させられたのだから、私からも一つ挑戦状を送りたいのですわ。」


 「あら珍しいですね、宜しいでしょう。それで、どんな語句なのですか?」


 「これですわ!!」


 自信満々に語句を書き連ねる柚莉愛。数秒後、絶望と後悔に打ちひしがれることになることを知らずに。


 「これは…ほぞを噛むですかね…」


 「…知ってるの…?」


 「はい。すでにどうしようもなくなったことを後悔することですね。お嬢様みたいに。」


 「言い返す言葉が何も出てきませんわ…」


 「ちなみに語源なんかは…」


 「自分のへそを噛もうとしても及ばないことから、どーしよーもなく及ばないことを悔やむのよ。」


 「まぁ流石に生きてきた年数や修羅場がお嬢様とは違いますからね。」


 「参りましたわ…」


 「…あ、次回は今回の分も含めて普段より多く覚えてもらいますからね〜!」


 「……… (返事がないただの屍のようだ) 」


 

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