第12話 跳梁跋扈

 「今回はこれです、跳梁跋扈ちょうりょうばっこと読みます。画数の多い字面を見ただけでやる気を無くさないでくださいね?」

 

 「…ばれてる…」

 字面から見て明らかに画数が多く難しい熟語であることと、考えを真っ先に見通され柚莉愛は少ししょんぼりしてしまった。


 「意味はやりたいままに行動したり、悪い人達が思うがままに振る舞いはびこることです。」


 「悪人って聞くと、なんだか物騒ね…」


 「そうですね、だいぶ昔の話になりますが、この地がまだまだ統治されてなかった頃の治安は、こんな感じだったかもしれませんね。」


 実際、この土地は昔はかなり荒れていたと、歴史の勉強をさせられていたことを柚莉愛はなんとなーく思い出していた。

 案外自分が以前やったことでも覚えてることに少し驚きつつも、莉奈にいくつか質問を投げかける。


 「これは前のやつみたいに単語が組み合わさったものかしら?」


 「そうですね。跳梁、で跳ね回る。跋扈、で勝手気ままに振る舞う様子なんかを表します。」

 

 「にしても、字が結構難しくて覚えづらいのよね〜」


 「跳は跳ぶ、梁は橋を表したり支える横木なども指します。跋は踏んだり、越えたり、つまづくことも表しますね。扈は従う、付き添うであったり、はびこることであったりを表します…ここまでやってみて思いましたが、やはりお嬢様には少し難しすぎましたね、申し訳ありません。」


 「ちょっと!馬鹿にするんじゃ無いわよ!これくらいすぐに覚えてやるわ!!」

 

 やはりプライドというものが少しはあるのだろう。乗せられたことにも気づかず柚莉愛はあっさり躍起になり始めた。

 

 「(あらあら、躍起になって…まだまだ可愛らしいですわね笑)」



 数分後、まんまと乗せられたことに気づいて思わず赤面してしまったことは言うまでもない。

 

 「いつか…仕返してやりたいものね…」

 

  

 

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