第8話 慇懃無礼

 「次はこれ、慇懃無礼、読めるかな?」


 「うーん、今までのは聞いたこと大体あったけど…分かりません!」

 博識の卓真君も流石に分からなかったようだ。

もちろん貫太はいうまでもない。


 「これは慇懃無礼いんぎんぶれいと言う。態度や言葉などが丁寧すぎて、かえって無礼になってしまうこと。また、態度がとても丁寧だが、実は尊大である、という意味もある。」


 「なるほど、行き過ぎた丁寧さも相手によっては無礼になってしまうこともあるんですね」

 納得の早い卓真に対して、貫太は一つ分からないことがあった。

 「あのー…」

 「なんですか貫太君」

 「尊大ってなんですか?」

 「そこから説明しなきゃいけないか…まぁついでだ、覚えてしまうといいよ。尊敬の尊が大きいと書いて尊大…だけど意味は真逆で相手を見下すさまであったりそういった態度を取ったりすること。初めの頃舐めた態度を取っていた貫太君にぴったりな言葉だね!!」


 先生の悪い冗談に貫太は顔をしかめることしか出来なかった。

 

 先生が続け様に話す。 

 「慇懃いんぎんとは、とっても丁寧で礼儀正しい様子。漢字はいんという中国の最古の王朝を指す漢字に心、ぎんは勤務とか勤労とかの勤に心だね。どちらも下に心が付くよ。殷が最初は書けないかもしれないけど、頑張って覚えてしまおう」

 

 「先生、中国史もわかるんですか?」


 「舐めてもらっちゃ困るね、だって先生だもの」

 


 


 

 

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