ライジクス建国記念企画

ナレーション「ここは平和な開拓惑星ヒビカセ。人々はやっと終わった困難だらけだった開拓事業を終わらせ、つかの間の休息を満喫していた。だが、奴らは待っていたのだ。全てを手に入れる為に!」


 地球型の美しい惑星が映像として映し出され、局所的なズームをしていき、近未来的都市へと場面が移る。平和そうな様子が流されていたが、唐突に全身タイツの昆虫的なモチーフっぽい奴らがわらわらと現れ暴れだす。


「た、大変! こんな時はあそこに連絡をしないと!」


 地味目な子供連れの母親が襲われながらも、腕の端末を起動させる。


「助けて! 助けてください!」


 場面がメカニカルな、微妙に年代を感じさせるあちらこちらがピカピカと無駄に光っている部屋に移り、そこに絶対リアルでは着用しないだろうゴテゴテしい服を着た、原色どピンクなツインテール女性がモニターインしたと思ったら、笑顔で耳元のインカムを操作して起動させる。


「はい! 要請ありがとうございます! どうしました? はい! すぐに助けに向かいます! 総司令!」


 ピンクな女性が叫ぶように呼び掛けると、ちょっと草臥れた感じの、絶対にこれどっかの国王モチーフだと分かってしまう男性がモニターインし、バチコンとウィンクをしてニヒルに笑う。


「出動だ!」


 男性の声と共にイントロが流れた。




 ~♪ ~♪ ~♪


 誰かが呼んでる(要請)

 誰かが悲しんでいる(要請)

 必要なら今すぐコール! すぐに行く!

             (ワーオ!)


 絶望なんてやっつけろ!

 悲しみなんてぶっとばせ!

 さあ来たぞ ボクらの

 ライライジャー!

 (ウーウーワーオ!)


 悪いやつらは許さない

 悪いたくらみは今だ必殺!

 ライライソード!

 (シャイニングスラーシュッ!)


 ライ! ライ! ライ! ライ!

 要請戦隊ライライジャー!

        (ライライ!)



ナレーション「これは開拓惑星を狙う悪の帝国、混虫帝国インセクターと戦う若者達の物語である」


「この番組は、いつもあなたの胃腸の余裕を、レイジアン製薬と、ご覧のスポンサーでお送りします」


 第一話 登場! ライライジャー!




 ○  ●  ○


「……」

「どうどう? パパンの言ってた通りに作ってみたんだ。どうです!?」


 テーブルに突っ伏し、ピクリとも動かなくなったタツローに、レイジはこれは絶対正解なヤツと確信しながらも、しつこく死体蹴りをするように感想を求める。


「なぁ、レイジ。このレッド役の役者って、ロドムに似てねぇ?」

「そりゃロドムがモチーフだもん。総司令はもちろんパパンで、ブルーがマルト君でブラックがお前」

「はあぁぁっ?! てめぇざけんな! てめぇが出てねぇじゃねぇか!」

「僕は不本意ながらピンクのこの娘さんだ」

「……何をそこまでお前を掻き立てたんだよ……」

「え? 楽しそうなら徹底的に悪のりしろってのが王家の伝統なんじゃないの?」

「「「「んな伝統捨ててしまえ!」」」」


 こうしてライジグスの記念日には、特別な企画が計画される流れが普通となり、多くのサブカルチャー文化が花開く事となる。


「ねーねー、女の子向けのやつはないの?」

「キャラクターイメージになりたいんですね分かります」


 次の企画が、ドキドキワクワク! キュアキュアルーンというアニメ作品となり、正妃四人がキャラクターイメージ元となるのだが、それはまだ未来の話だ。

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