レイジ君の宇宙のなぜなに豆知識 ③
レイジ「さて、本日は身体の強化と調整のお話です。すーぱーぱわーを手に入れるヤツですね。まぁ、そこまで万能ってモノでもありませんが」
嫁「「「「そーなのかー」」」」
レイジ「そーなんです。身体強化と調整は、そもそも無重力で活動する為に必要な処置、というのが始まりです。まぁ、どんな人間種でも、進化の過程は宇宙空間ではなく、重力下の惑星で人に進化している為ですね」
嫁「「「「ほうほう」」」」
レイジ「重力の縛りから解放された人類は……もれなく脆い体になります。そりゃそうです、重力下で活動する事を前提に進化した生命体なのですから当たり前ですね。ですので、宇宙空間で活動する為に体を人工的に強くしよう、というのが強化です。それで、ただ体を強くしただけだと上手く体を使えません、そこで必要になるのが神経と精神の調整ですね。この二つを同時に行う事で、すーぱーぱわーをゲット出来るという仕組みです。これが第一種強化調整と呼ばれるモノの仕組みですよ」
嫁「「「「へーへーへー」」」」
レイジ「それで第二種だと、これが宇宙空間での生活が目的ではなく、戦闘にも耐え得る体、という感じになります。第三種は完全に戦闘が目的ですね。本来ならば第三種で相当凄いんですが……我が国の王様はアレでして、確認した限りだと第十五ぐらいまでの強化調整は出来てしまうらしいです。そこまでやると生身というよりナノマシンの集合体になってしまって、ほとんど生体サイバーグ状態になってしまうからやらない、とは言ってましたが……いつかやりそうで怖いですね。いや、誰かを実験台にしてですが」
嫁「「「「ガクガクブルブル」」」」
レイジ「それは置いておいて。自分も、目玉を抉られたりしたアレコレで、トラウマ的なフラッシュバック対策に、結構高度な強化調整を受けてますが、これが実は万能では無いんです」
嫁「「「「そーなのー?」」」」
レイジ「はい。そうですね、第三種以降の強化調整を受けた場合、寿命が爆発的に伸びるんです。第三種で大体五百年くらいかな、それぐらい長生きするんですが、本来の一般的な人間種、ここでは希少な幻想種だとか元から長命な爬虫類系人種は除きますが、何もしない状態なら良くて八十九十、運良く百歳って感じの寿命な訳です。そんなのが五百年も生きてご覧なさい、精神がおかしくなってしまいます。そこで調整なのですが、これは精神にある程度のストッパーやリミッターを設置するような感じだと思えば正しいです。激しい感情、例えば過度な恐怖であったり悲しみであったりを感知し、それを緩やかに感じるように調整する、みたいなモノですね。これがトラウマ関連に作用すると」
嫁「「「「ほうほう」」」」
レイジ「それで万能じゃない理由ですが、長生きして精神も若々しく保つには、色々な刺激を精神に受けた方が良いわけで、調整でここを完全にしてしまうと、本来の目的から解離してしまうわけです。なのでアベルの様に、激しいトラウマのフラッシュバックを緩和しつつ、それを激しい鍛練で乗り越えよう、みたいな非科学的に見えるけど、実際にはとても有効な手段を使って乗り越えた、とう感じですね。僕ですか? 僕は何だろう、そこまでフラッシュバックする程じゃ無かったですね。まぁ、グロ系って孤児院の子供達には身近でしたから。そうですねー、近所の浮浪者がバラバラし――」
嫁「「「「今回はここまで、さようならーさようならーさようならー」」」」
孤児院出身の子供も、ストリートチルドレン系の子供も、なぜに逞しいのか。環境は人を育てる。嫌な育て方ではあるが……きっと我らが国王が、そんな子供達を守ってくれる事だろう。多分。きっと。
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