第五話

 くら洞窟どうくつとおり、もと川辺かわべほうへ。

 ぼくは戦利品せんりひん大切たいせつむねかかえ、不自由ふじゆう両手りょうてでつまずかないように注意ちゅういしてあるいた。

「しっ!」

 出口でぐちあかりが近付ちかづいたところで、坂神さかがみくんがするどこえげた。

だれる!」

「えっ」

 洞窟どうくつくら壁際かべぎわひそめて、そっとそとのぞく。


「おいっ、ろよ!」

やまちゃん、どうしたの?」

入口いりぐちとびらはずれてんぞ!」

「あっ、本当ほんとうだ」

「おまえら、かえりにとびらわすれたんじゃねえだろうな?」

やまさん、そりゃないっスよ~」

昨日きのうかえとき一緒いっしょだったじゃないか」

「そうっス。ちゃんといたうえつちくさをかけるの、てたじゃないっスか」

「おう、そうだったな」


「マズいぞ、山下やましただ!」

「あの広場ひろばは…山下一味やましたいちみ本拠地ほんきょちだったんだぁ…」

「どうしよう、こっちにるよ」

「よし、ここはおれにまかせろ!」

「いくら坂神さかがみくんでも、相手あいて四人よにんもいるよ」

「ちょっと時間じかんかせいだら、おれもげるから!」

「でも…」

山下やましたにおれらのたからわたすわけにはいかない!」

 ぼくが大事だいじかかえている戦利品せんりひんゆびさす。

「それを絶対ぜったいうばわれるなよ!」

「うん、かったよ。坂神さかがみくんもけて」

いちの、さんすぞ!」


 山下一味やましたいちみがゆっくり近付ちかづいてる。

 タイミングを見計みはからって、坂神さかがみくんの合図あいずとともに、ぼくたちは一斉いっせいした。


「うわっ、なんだ!」

「あっ、あれ、坂神さかがみだぞ。うしろにもだれかいる」

おれたちのアジトでなにしてやがった!?」

てぇ!」

「さあ、はやけっ!」

「あいつなにってるぞ!」

がすな!」

え~!!」


 どこをどうはしったのか、さっぱりおぼえていない。

 途中とちゅう木元きもとくんともはぐれちゃった。

 気付きづけば、ぼくは基地きちなかで、あらいきをしながらひざかかえてすわんでいた。


 それからほどなくして、木元きもとくんもかたいきをしながらかえってた。

大丈夫だいじょうぶだった?」

ひどにあった…」

 きそうなかおこたえる。

「しつこくて…ところで戦利品せんりひんは…?」

「ここにあるよ」

 基地きちなか

 もりひろった木材もくざいかさねてつくったテーブルのうえかざってある。

かったぁ…無事ぶじだったんだね…」


 それからしばらく、坂神さかがみくんをっていたのに、なかなかもどってない。

 水着みずぎのままだったので、一回いっかいいえかえって着替きがえてからまたあとで。

 そうって、木元きもとくんとわかれた。


 まさか、あんな事件じけんきるなんて、おもいもしなかった。

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