君の気持ち
何でも、持っている俺。
欲しいものは、いつだって向こうからやってくる。
俺を否定する存在などいない。
なのに、何で?
小花は、俺のものにならない。
何にも持ってない小花。
ツギハギだらけの服を着てる。
それなのに、俺よりも、幸せそうなのはなぜ?
小花を見てるとイライラする。
小花を見てるといじめたくなる。
でも、本当は小花にずっと優しくしたい
管野先生にイラついた。
坂口の言葉にイラついた。
坂口が抱き締めてるのにイラついた。
何で?坂口に手を回すんだよ。
何で?坂口は、お前の世界に入れて、何で俺はお前の世界に入れないんだ。
何で?お前は俺から奪ってくんだよ。
俺は、お前を…
「小花さん」
バサッ…。
「坂口君」
「帰ろうか?」
「うん」
「落ちたよ」
拾ったノートを見て、坂口君は固まった。
「僕は、小花さんの世界にずっといたかったよ。」
キスをされそうになって、とっさに横を向いた。
唇が、頬に
「ごめんなさい」
「最初から、小花さんの世界に僕は入れなかったのかな?」
「そんな事ないよ」
坂口君は、小さなノートを私の手に握りしめさせた。
先生に聞いたよ。
耳元で、花村君の入院先を告げられた。
「ごめんなさい」
飛び出した教室で、赤池さんにぶつかった。
「大丈夫?」
「うん」
「ごめんね、急いでるの」
私は、上履きもそのままに走り出した。
走って、走って、病院にきた。
ガラガラ…
「小花」
「生きててよかったー」
私は、花村君に抱きついた。
「骨折しただけだから」
「死のうとしたんでしょ?」
「したよ、お前のせいだ」
「何、それ?」
「お前が、俺にこんな気持ちを植えつけたんだ。」
花村君は、胸の辺りを握りしめていた。
「お前が、一年の頃からずっと俺にこんな気持ちを植えつけた。」
バサッって、羽根がはえたのが見えた気がした。
「君は、もう飛べるよ」
「押さえつける度に、苦しかった。ずっと言いたかったんだ。小花、愛してる」
花村君は、私を引き寄せて抱き締めた。
「私も君を愛してるよ」
やっと、わかった。
君のキラキラが消えた理由
君の羽根が、消えた理由
「小花、これから先は、ずっと俺の傍にいて欲しい。」
「うん」
花村君は、私の唇にそっとキスをした。
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