突然の告白
ガラガラ…
「早かったね」
っと、振り返ったら花村君が立っていた。
「足、挫いたのか?」
「えっ?」
「見せろ」
「いたっ、何すんのよ」
私は、足を無理やり引っ張った花村君を反対の足で蹴飛ばした。
「いってーな。何すんだよ」
「痛いのに無理やり引っ張るからでしょ」
「俺が、何とかしてやるよ」
「出来るわけない。痛い」
ガラガラ…
「花村、やめろよ。」
保健室に入ってきた、坂口君が花村君を睨み付けた。
今まで、見たことない目だった。
「何だよ、坂口」
「どけッ」
私から、花村君を引き離した。
「先生は?」
「用事でこれないから、使っていいって」
「えっ?」
「ここに、足乗せて」
坂口君は、私の足を自分の足の上に置いた。
「染みるかも」
消毒をしてくれる。
「っつ」
「大丈夫?」
「うん」
優しく手当てをしてくれた。
花村君は、それをジッと見てる。
「坂口って、変態だな」
「どうして、そうなる?」
「女の足なんか
「嬉しいに決まってる」
「はあ?」
「僕は、小花さんが好きだから」
「へっ?」
「靴下脱がすよ」
「あっ、うん」
告白をされた気がした。
坂口君は、私の足に湿布を貼ってくれて痛みが出ないように包帯を巻いてくれた。
「これで、大丈夫だと思う。昔、保健の先生に教えてもらったから…」
私のツギハギだらけの靴下を足に履かせてくれた。
「小花さんは、ツギハギだらけだね」
「うん」
「これ、あげる」
坂口君は、鞄から何かを取り出した。
「なにこれ?」
「少し早いけど、誕生日プレゼント。今日、渡したくて」
「毎年、ありがとう」
坂口君は、首を横にふった。
「返事だけど…」
「返事?」
「さっきの告白の返事だけど」
やっぱり、さっきのは告白だったのだ。
「卒業式の日にくれない?」
「あっ、うん。」
「それまでは、まだ小花さんと普通に過ごしたいんだ。ダメかな?」
「ううん、ダメじゃないよ。」
「ありがとう」
坂口君は、ニコニコ笑って私の頭を撫でてくれた。
ガラガラ…
「ほら、小花以外は教室戻れ」
「はい」
保健室の鬼男と呼ばれてる、管野先生がやってきた。
「先生、俺、頭痛い」
「花村、嘘はよくない。行け」
「何でだよ」
「坂口も、授業遅れるぞ」
「はい」
坂口君は、立ち上がった。
「坂口、花村を連れてけ」
「わかりました。」
坂口君は、花村君を行くぞと連れていった。
先生は、私の前にやってきた。
「丁寧に、手当てされてる。大丈夫だな。たてるか?」
私は、そう言われて立ち上がった。
「っつ」
「危ないから、座りなさい。」
痛くて、立ち上がれなかった。
先生は、私を椅子に座らせた。
「小花、今日は保健室で1日過ごすこと、わかったか?」
「はい」
先生は、私を見つめる。
「カッターシャツの寄付が出てきたらしいんだ。小花のサイズもあったから、貰って帰りなさい。それと、スカートも新しい寄付があった。ブレザーも。ツギハギだらけだろ?卒業式は、綺麗なのがよかったりしないか?」
昔から、先生は私のツギハギを気にしてくれていた。
「別に気にしてませんよ。切られたブレザーを縫ってくれたのは先生だったでしょ?」
「そうだけど…。本当に、それでいいのか?」
「いいですよ。カッターは、坂口君が縫ってくれたんですよ。先生見ます?」
「見せてくれるの?」
私は、ブレザーを外した。
「これです。」
「俺が、君を襲ってるように見えるよな」
「そんな事ないですよ。」
坂口君が、つけてくれたアップリケを先生に見せた。
「お前、それが目的か」
えっ?
振り返ると花村君が、立っていた。
「何の話だ?」
花村君は、管野先生の胸ぐらを掴んだ。
「離してくれないか?花村」
「テメー。小花とやろうとしてんじゃねーぞ。」
「やるって?」
「君、やめなよ」
私は、花村君を先生から離した。
「何で?庇うのかよ」
「庇うも何も、先生は私が坂口君につけてもらったアップリケを見てくれただけだから」
「アップリケ?」
「うん、これ。」
私は、右脇腹あたりに付けられたアップリケを見せた。
「だから、誤解されるって言っただろ?小花」
先生は、笑って私の頭を撫でようとした。
「小花に
花村君は、先生の手を掴んだ。
「やめて」
「何だよ。」
「大人が大嫌いだった私に、大人は悪いものじゃないって教えてくれたのは、管野先生なの。先生に、酷い事しないで」
「何だよ、こいつの肩もつのかよ」
ガラガラ…
「花村は、何で小花さんの世界に急に当たり前みたいにはいってんの?」
坂口君が、戻ってきた。
「何で、お前までくんだよ」
「授業が、自習になった。そしたら、花村がいなくなったからついてきたんだ。」
「何だよ、それ。坂口は、何でも小花の事知ってるみたいに言うなよ。」
「知ってるよ。少なくとも、花村よりはずっと」
「もう、坂口君も花村君もやめてよ。くだらない事で喧嘩しないでよ。」
二人は、黙ってしまった。
「もう、いいよ」
花村君は、出ていった。
「ごめんね、小花さん。」
「君が、謝ることじゃないよ」
「小花、家に送ろう。今日は、授業は受けれない」
「そうした方がいいよ」
「じゃあ、そうする。」
私は、保健の管野先生に家に送り届けてもらう。
「これから小花は、また辛い事が始まるかもしれない。ダメだったら、保健室にまた来るんだよ」
「はい」
私は、先生にお辞儀をして家に帰った。
足の痛みは、ずいぶんとマシになっていた。
その日の夜は、足の痛みと胸の痛みで思うように眠れなかった。
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