002


 あの神様っぽいのと話した後、気が付いたらどこかに飛ばされていた。そこは何も見えない真っ暗で、すごく窮屈なところだったけれど、あったかくて不思議と嫌な感じはしなかった。手足は動くんだけれど、すぐに何かにぶつかるくらいの狭いところだったんだけれどね。


 そんな居心地のいい不思議な空間で過ごしていたんだけれどさ、ある時さ窮屈だったその空間に少し余裕ができたかと思えば、僕の全身がむぎゅうっと締め付けられだした。もう頭なんか割れるほど痛かったしね。


 流石に痛すぎて泣いちゃったよ。ギャン泣きだよね。痛くて泣くとかいつぶりだろう? 全身の締め付けや頭の痛みが治ったかと思えば今度はありえないくらい寒いの、どんな拷問だよってね。

 

 もう、痛いし寒いしで頭はパニックだよ。思わず目を開いたら、多少ぼやけてはいるけれどちゃんと見えるみたいでさ、目の前には黒い髪の野獣と青い髪の美女がいた。それが今世のパパンとママンだ。


 そんなこんなで、新しい世界に無事転生したみたいだけれど、全然実感が湧かないよ。


 毎日毎日同じ部屋で、ミルクを貰っては寝て、垂れ流しては寝て、ミルクを貰っては寝る。三大欲求の内の食欲と睡眠欲を満たすだけの日々。まあそれが赤ちゃんのお仕事なんだから仕方ないんだけれどね。


 さて、今現在わかっている事は、多分、不動さんと僕は双子としてパパンとママンのもとに生まれたみたい。不動さんがお姉ちゃんで僕が弟だ。なぜ多分がついているかというと、この双子のお姉ちゃんが不動さんとはまだ確定してないんだよね。


 なんせ、僕もこの子も産まれて間もないからまだしゃべれないし、長い時間起きてられないのさ、まあ赤ん坊なのに死んだ魚のようなお目目をしているから、この子は不動さんで間違いないと思う。

 

 パパンは黒髪のワイルドな感じで、ママンは青髪のおっとりとした感じの美女で、どちらも凄い美形だ。こりゃ、将来が楽しみだね。両親がこれだけ美形なら、きっとその血をひいた僕達も整ったお顔になるに違いない!


 後、この家は裕福なんだと思う。僕と不動さん用の部屋があるし、部屋の窓には透明なガラスが嵌め込んである。透明な板ガラスを作るのって難しいんじゃなかったっけ? それに、お世話をしてくれるメイドさんもいる。専用の部屋が用意できるほど家が大きいってことだと思うし、メイドさんを雇えるって事はそれなりの家なんじゃないかな? 貴族とか大店の商人とかそんな感じかな? パパンの見た目的に商人っぽくないから僕は貴族だと思ってるけどね。

 

 当たり前かもしれないけれど、テレビやラジオなんかないし機械っぽい物も見当たらない。ただ、ここが赤ちゃん用の部屋だから無いだけなのかもしれないけれどね。これは後々動けるようになってから確認することとしよう。


 ちなみに、ここが異世界っだってことはすぐに信じれたよ。なぜかというと、お世話をしてくれているメイドさんの中に犬耳メイドさんと猫耳メイドさんがいたのさ、もちろんモフモフしてそうな尻尾もあった。直接触って確認したわけじゃ無いけどピコピコ動いてたから本物だと思う。


 そのメイドさんがお世話をしてくれる時にちょくちょく魔法っぽいのを使っていたから、改めて、ここはもといた世界とは別の場所なんだと実感したよ。


 何にせよ、魔法だよ魔法! 僕にも使えるかな。今からワクワクしてきたね。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

不動珠子は働かない @ooisisisioo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ