三国 雪乃の遺書


 遺書


 お父さん、お母さん、冬治、これを読んでいるということは、私はすでに死んでいるのでしょう。


 私は今、校舎の時計塔の上でこの遺書を書きながら、自分の短い人生を振り返っています。総括してみると、喜びよりも辛いことや悲しいことの方が多かったと思います。思い出せば思い出すほど、私の人生は、失敗ばかりで、誰にも望まれず、惨めで、無意味なものだったと思い知らされます。だから、今日全てを終わりにしようと思います。


 お父さん、お母さん、私があの子を骨折させたばかりに、長い間辛い思いをさせてしまい、本当にごめんなさい。ひと段落着いた今、二人が幸せになれることを祈っています。


 冬治、あなたの病気が治って本当に良かった。長いこと私を気にかけてくれてありがとう。あなたが、私と両親のことで心を悩ませていたのを知っています。どうか、これからは家族仲良く明るい未来を歩んでください。


 私の自殺のせいで、また皆に迷惑をかけてしまうでしょう。これで最後です。どうか許してください。


                               20XX年7月Ⅹ日

                                 三国 雪乃

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