三
翌日もバイトがあった。この日は佐竹は休みだった。先輩の飯山里穂と閉店まで一緒だった。彼女は隣の市にあるK大学の二年生で、一年の頃からこの店でバイトをしている背が高く、凛とした顔立ちをした女性だ。一件近寄りがたいように見せるが、おしゃべりが好きでシフトが同じになると彼女の話をずっと聞くことになる。今日は雨が降っていた為、客足はまばらだった。暇になりそうだな、と心配していたが、飯山の話し相手になることでその心配は解消された。彼女はある男友達の話をした。その男友達は同級生の女性のことが好きだそうだ。二人は同じサークルに所属しており、仲も良いらしい。しかしその女性は学内でも有名な美女で、所謂高嶺の花なのだ。その為一歩踏み出せずにいるらしい。
「こういうのってゴリ押しすると案外上手くいったりするんだよね」
ふうっと息を吐きながら飯山は呟いた。そういうものなんですか、と飯山に尋ねると「そういうものだよ。案外両思いだったりしてね」とニヤリと笑った。その後も彼女の話は止まることなく続き、あっという間にバイトの時間過ぎていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます