四
時計を見ると十四時を回ったところだった。今日は平日のため、客が少ない。店内にいるのは、テーブルにおそらく近所に住んでいるであろう主婦が四人だけだ。主婦たちはケーキを食べながらずっと話をしている。最近法事があったという話が聞こえてきた。あまりケーキが減っていないところを見ると、話してばかりのようだ。それにしてもこんなにも話しているのに話題が尽きないもだ、と感心する。特にやることがないため、カウンターの整理をしていると、店長が声をかけてきた。書類の束を整理するのを手伝ってほしい、とのことだった。
バックヤードで店長の手伝いしていると、佐竹が扉から顔を出して「手伝って」と声をかけてきた。時計を見ると十五時を過ぎていた。お茶をしたいと人々が思う時間で、ピークタイムと呼ばれてる。この時間には店長を含め店員が必ず四人はいるようにシフトが組まれている。バックヤードから出てみると、奥の三つのテーブルは全て埋まっていた。またカウンターにも二人の客がいた。佐竹と飯山がオーダーを取り、俺は店長と協力して次々とやってくるコーヒーやフードの注文を捌いていった。
十七時になり、客足も落ち着いてきた。あと一時間でバイトも終わる時間だ。この店は朝の九時から営業を始めて十八時に閉まる。十六時までのシフトだったため、飯山はすでに帰っていた。店内には三十代ぐらいの女性客がいた。奥のテーブルに座り、パソコンで何か作業をしている。洗い物をしていると、佐竹が声をかけてきた。
「ねえ、砂川くん。そろそろあのお兄さんが来る頃かな?」
「あのお兄さん? それっていつもコーヒーを二杯頼んでいるあの人?」
「そう。なんで二杯も注文してるんだろうね」
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