第3話 容疑者話①

次の日、近山高校は騒然としていた。

当たり前だ、昨夜の保護者会で得た情報がすでに生徒間で交換されているからだ。黒田が殺されたことは、周知の事実になった。

谷津倉はいつも通りに学校へ来て、日課であるコーヒーを飲んでいた。新聞もテレビもチェックしたが事件は一切取り上げていない。コップの中の黒い水位が減っていくのを見ていたら、

「先生、ちょっといいですか」

と教頭に話しかけられた。口の中のコーヒーを戻すことなく、飲み込んで返事をする。

教頭は少しやつれていて、年相応に見えた。イヤリングもしていない。

さりげなく周囲を見渡し、声を潜めた。

「井上先生がノートパソコンを持っているのを見かけませんでした?事件のあとで」

ノートパソコン?先生は皆持っているので何ら違和感ない。そう答えると、

「そうですか。黒いパソコンですけど、心当たりがあったら言ってくださいね」

黒いパソコン。谷津倉は思い出した。事件があった日の夜に、井上が黒いノートパソコンを抱えていたことを。井上は灰色のスーツと同じような色のパソコンを使っていたのでよく覚えていた。買い替えたのかと思っていたが。

「それがどうしたんですか」

教頭の顔に迷いが現れた。唇が数回痙攣する。何か言いたいのだろう。

「……黒田先生のパソコンが壊されていました。3階、もしくは2階から中庭へ投げられ、壊されていたところを警察が見つけました。今、中のデータが無事か調べています。事務の子曰く、井上先生が持っているところを見た、と。裏を取るために動いているのですよ」

谷津倉は悟った。刑事が校舎をうろつくのは目立つため、教頭が代わりに動いているのだ。教頭が、学校と警察のかけ橋であり窓口になっていた。

井上はなぜ黒田のパソコンを壊したのだろう。見つかってはまずいものがパソコンの中にあったかもしれない。好奇心が胃の辺りに溜まっていった。教頭から情報を引き出したいが、教えてくれるだろうか。

「教頭先生、僕が井上先生に探りを入れましょうか。特別親しいわけではないけど、だからこそ話してくれるかもしれません」

「あら、お願いしてもいいですか」

教頭と谷津倉で警察の対応をしているが、警察は教頭ばかりに聞いてくる。負担を減らしたいという思いもあった。


          ❇︎


さて、どうするか。谷津倉は化学室の前で立ち止まった。

放課後だが、いつも聞こえる運動部の掛け声が聞こえない。部活動はしばらく休止になったのだ。秋の大会が近い部活は、市の体育館やスポーツセンターを借りることで合意した。

化学室の前後の扉、どちらから入るべきか、行き来する。

突然尋ねるのはかえって不自然だろう。世間話から入って、事件に関連する話をして、それからさり気なく聞けばいい。よし、と思って振り返ると井上がこちらに歩いてくるところだった。誰かを連れている。

「おや、谷津倉先生。こんなところで何をしているんですか」

谷津倉は咄嗟のことで反応ができなかった。井上の横に釘付けになる。

「谷津倉先生?」

井上はどうしたのかと谷津倉の視線を追った。

「ああ、この方は我が校のOBの友人らしいですよ。OBの方が化学室に忘れ物をしたらしく、代わりに取りに来たそうです」

「初めまして、すぐに見つけるのでお気遣いなく」

萩原美生だった。昨日と同じようなファッションだが、足元はスリッパだった。美生は小さくウインクをした。初めまして、と平常心を保ちながら返事をする。

井上が扉を開けると、薬品の匂いがした。

化学室は改装をしたことがなく机や椅子の色が剥げていた。机の角はガムテープで保護されている。奥の扉は隣の理科室に続いているが、こちらは改装されているので生徒に人気があった。水槽にいるウーパールーパーも人気のひとつだ。

「埃っぽいでしょう」

井上は自嘲気味に笑った。

埃はなかったので、雰囲気のことを言っているのだろう。

「そんなことありませんよ。掃除が行き届いていて、大切にされていることがよくわかります」

美生は笑いもせずに言った。

「さてと、では忘れ物を探してもいいですか?棚にあるって聞いていましたけど……」

壁に沿って並ぶ棚に、美生が近づく。

棚はガラス張りで、教室内の景色を反射していた。

「いいですよ。ただし、動かしたものは元の場所へ、容器の蓋は開けないようお願いします」

井上は1番前の席に座った。円柱の椅子はやや小さく、足を閉じて背中を丸めるように座る。谷津倉も横に続く。開けっ放しの扉から冷気が入る。冷たい空気は上下するように2人の前を通って消えた。谷津倉は以前、生徒の話を小耳に挟んだことがある。

化学室はボロくて嫌だの、化学は難しくて分からないだの、不満をぶつけ合っていた。

1年生はまだ文系理系に分かれていないが、谷津倉のクラスは文系が多く見られた。

必然的に理系の授業が苦手になる。移動教室の準備をするとき、生徒たちの顔色を見れば次の授業がわかるほどだった。

しかし、井上本人の不満は聞いたことがない。

面白い話をするわけではないが、わかりやすく教えてようとする姿勢が評価されていた。彼女たちは不思議なもので、自分たちに興味がない先生ほど興味を示す。

「井上先生、黒田先生のパソコンを壊しましたか」

谷津倉はじっと机の傷を見つめていた。誰かの名前や相合い傘が彫られている。

空気が揺れたのを感じたが、それでもくだらない落書きから目を離さなかった。

「誰かに頼まれて聞いていますか」

「いいえ、僕個人の質問です」

井上はンフ、と声を漏らした。誤魔化すように咳払いをする。

「黒田のパソコンが講師室に置きっ放しだったので職員室に持っていっただけです。その時は殺されたと思わなかったので、誤解を生む行動をしてしまい申し訳ないと思っています」

用意された台詞を話すように、つらつらと答えた。

「では、パソコンを壊されたことに関与はしていないと?」

「ええ、知りませんでした」

谷津倉は井上に体を向けた。尻が椅子からずり落ち、座り直す。

「パソコンを壊しても中身は無事ですよ。井上先生だってパソコンを使っているからわかるはずです」

「馬鹿ですね」

突然、美生が話に入ってきた。両手で慎重に瓶をどかしながら、ガラス越しにこちらを見る。半透明な机の上に、半透明な美生の顔が映る。

「谷津倉先生のことですよ。目先のことに囚われて肝心のものが見えていない。パソコンを壊したのは何かから関心を逸らすためかもしれません」

美生はひとつの瓶を掴み、振り返った。茶色いグラスに黄色いラベルが貼ってある。

「その何かとは、必ずしも目先とかけ離れているものではありません。パソコンに疑わしいことがないと、用済みになる。ここが狙いじゃないでしょうか。警察が手放したパソコンをなんとか手に入れなければ……」

2人の男が呆然としている。

美生は我に返り、慌てて瓶を戻すと、慎重にガラス戸を閉めた。

「すいません、友人は鍵を棚に置いたらしいですが見つかりませんでした。今日のところは帰ります」


          *


「井上先生、困惑していましたよ」

谷津倉は隣を歩く美生をジト目で見た。

「だって谷津倉先生が直球で聞いているから……。あれで答えてくれたら苦労しませんよ」

キャスケットを深く被る。本人も話に割り込むつもりはなかったらしい。

「それで、何かわかりましたか」

「はい、瓶の跡が棚についていましたが、私が見たとき、瓶は跡からずれて置いてありました。警察が薬品のひとつひとつ確認したのでしょう。施錠されている棚も、警察は確認したはずなのでスルーしました。どうにも警察の後を追いかける形になってしまって……」

 歯がゆいのか爪を噛んだ。

2人は街を歩いていた。あの後、美生を送るという理由をつけ、学校を出て来たのだ。

車通勤なので久しぶりに学校周辺を歩いた。

住宅街を抜けると大通りがあり、街路沿いがチェーン店で賑わっている。買い物袋を抱えた主婦が2人の横を通り過ぎた。

「さっき言っていましたけど、どうやってパソコンを入手するんです?」

「まだ考え中です。パソコンじゃなくても、中身さえわかればいいです。被害者が殺された理由と、青酸カリの入手経路のヒントになるものがわかればいいんですが……」

「殺された理由……動機ですか。黒田先生は生徒たちのやっかみを引き受けていました。もし、生徒の1人が青酸カリを入手して黒田先生に使ったなら、容疑者は3人から全校生徒レベルまで増えますね」

途方も無いことだった。出口が見えそうになって、点滅して消えていく。暗闇のトンネルを壁伝いで歩いている気分だった。

ふと、美生が歩みを止める。谷津倉も続いて止まった。

昔ながらの喫茶店。窓側に2人の男女が向かい合って座っていた。女の方は月子だった。男はパーカーにジーンズというラフな格好で、パソコンに向かっている。時々顔をあげては月子に怒っているようだった。月子はというと、下を向いて微動だにしなかった。シンプルなワンピース姿はいつもより大人っぽく見える。

「如月月子ですね」

なんで顔を知っているのか、と聞く前に美生は答えた。

「昨日、別れた後に見かけました。金髪で制服って目立ちますね。近くの生徒にあの子が月子ちゃん?って聞いたらそうだと答えてくれました」

うちの学校のセキュリティは、生徒の意識の低さが足を引っ張っているかもしれない。

谷津倉は無自覚にため息をついていた。

「相手は誰でしょうか」

2人はさり気なく端に寄り、注意深く観察した。

「見たことはないです。父親にしては若いしお兄さんかもしれません」

「それか、恋人かもしれませんよ」

女ってすぐに色恋に結ぶよな、と美生を見ると、彼女は大真面目だった。

「恋情が関わっていたら厄介です。理屈で説明できませんから」

その時、谷津倉の肩に誰かの手が乗った。

「えっ」

首筋を守るように手を添え、前かがみにジャンプする。

「宮田先生……」

驚かした張本人は、予想外のリアクションに固まっていた。仕事帰りなのか、ベージュのコートを羽織っている。

「ごめんなさい、こんなに驚くとは」

「どうしてここにいるんですか」

宮田は指差した。差した向こうに、マンションが見える。

「家が学校の近くって言っていましたね、そういえば」

「そうよ。それでこちらの方は……」

美生は丁寧に一礼した。

「初めまして、萩原美生です。近山高校で起こった事件を追っている探偵です」

谷津倉は思わず美生の背中を小突いた。ちょっと強かったのか小さくむせている。

谷津倉は美生をジャーナリストだと誤魔化していたのだ。

幸い、宮田は気づいていなかった。

「探偵?谷津倉先生が依頼したの?へええ、初めて見たわ。私は宮田静香。近山高校で養護教諭をしています」

つられて一礼する。

探偵と正直に名乗ったことに驚いたが、井上は容疑者だから隠したのかもしれない。宮田は2人が見ていた先を伺った。

「宮田先生って如月と親しいですよね、あの人は誰だかわかりますか?」

「さあ……兄弟はいないし、心当たりはないわ」

「そうですか、先生でもわかりませんか……」

男と月子が立ち上がった。3人は慌てて歩き始める。

駅が近づくにつれ人通りが多くなっていく。

「宮田先生、如月月子について詳しく教えてくれませんか」

谷津倉は唐突に言った。宮田はいいわよ、とファミレスの前で止まった。

「道端じゃあれですし、座って話しましょう」

「ここだと学校の最寄りですし、うちの生徒がいるのかもしれないですよ」

「自宅にまっすぐ帰るよう指導しているでしょ。もしいたら注意すればいいのよ」

宮田はさっさと店に入った。甲高い電子音と店員のいらっしゃいませ、という声が聞こえる。谷津倉と美生は顔を見合わせ、後に続いた。



3人の前に、コーヒー2つとアイスティー1つが置かれた。美生はアイスティーを引き寄せた。テーブルに水の筋ができる。

「如月月子は母子家庭で、決して裕福な家庭ではないわ。彼女、高校を出ても働くみたいだから、事件に巻き込まれて内申に響かないか心配なのよ」

「だとしてもいい評価がもらいたいなら姿勢で示さないと駄目ですよ。黒染めするとか」

「私だって何度も言っているわよ……」

宮田は嘆くように言った。前髪を触り、眉毛も触る。

「とにかく、生徒を無闇に刺激しないで。松本さんだって休んでしまったのよ」

容疑者の1人、松本あかりのことだ。

美生は前のめりになった。谷津倉は慌ててアイスティーを遠ざける。

「松本さんってどんな子ですか」

「松本さん?いい子よ。成績優秀で愛嬌があって、運動は少しできないけど可愛らしい子よ」

「先生目線じゃなくて、あなたから見た松本さんです」

店員が伝票を置きにきた。置き忘れていたらしい。透明な筒に紙が丸まって入る。谷津倉だけが会釈をした。

宮田はストローを咥え、コーヒーを飲む。唇を離すとストローに少し噛んだ跡があった。

「よく思うのは、騙されているなって。明らかに男の先生と女の先生で態度を変えているのよ。うちは女子校だけどもし共学だったら男子にも色目を使っていたと思うわ。気づかず良い子だって思っている男性職員にもイライラする。正直、松本さんって同級生に嫌われていると思う。私の見解だけどね」

一気に話すと、またコーヒーを飲み始めた。視線はテーブルに落ちている。

いつも優しい宮田が、こんなことを思っていたとは意外だった。

「宮田先生、あなたも嫌いでしょう。傍観するふりをしていますけど」

美生は畳み掛けるように言った。宮田は聞こえないふりをしてひたすらコーヒーを飲んでいる。谷津倉は何か言おうとして口を閉じた。

そもそも松本あかりのクラスは別の先生が国語を教えているので関わったことがない。

「ああ、すいません、失礼なことを言ってしまって。なんとなく松本あかりのことはわかりました。もうひとつ、質問してもいいですか」

謝っているが、美生の目に反省の色は見えない。宮田を睨むように見据える。

「なあに」

「あなたが隠していることは何ですか?」

また甲高い電子音が店内に響いた。いらっしゃいませー、と声が響く。

作業着を着た中年と女学生らしき少女が入ってきた。

2人は谷津倉たちの横の席を選び、メニューを開く。おしぼりで顔を拭く中年に少女は嫌そうな顔をした。

親子か、それとも……。

月子と男を思い出す。谷津倉は想像を止めようとコーヒーを飲み始めた。

「隠していることなんて無いわよ」

宮田はコーヒーを飲み終え、伝票を取ると立ち上がった。明らかに不機嫌だった。

「宮田先生、あの」

「谷津倉先生、また明日学校でね」

また、肝心な時に何も言えない。

「とにかく、彼女にはもう関わらないで。教員という立場なのに生徒を平等に扱わなくて申し訳ないと思うけど、お願いします」

宮田は姿勢と正すと、お辞儀をした。つむじが見えるほどだった。横の2人がこちらの様子を見ている。谷津倉も美生もただ、頭が上がるのを待った。

「あ」

宮田は頭を下げたまま言った。

「内緒にしていることだっけ?あるわよ。黒田先生が死んだ時、死んでいるって叫んでしまったの。今思い出したわ。わかっていても言うべきじゃなかった。倒れたってことにして運べば良かった。放送委員の、居合わせた子の顔が忘れられないわ」

やっと顔を上げると、泣き笑いみたいな表情になっていた。保健室の先生じゃなくて、宮田静香の顔だ。

「答えていただきありがとうございました」

美生の声は届いただろうか。

足早に去っていく宮田を、谷津倉はただ見ていることしかできなかった。明日から顔を合わせにくい、と思った。

「失礼なことを聞いてしまいました」

飲む気が失せたのか、美生はアイスティーに口をつけずストローで氷を突いていた。

「いや、大丈夫。宮田先生も事件で疲れていると思うからイライラしているだけだと思う」

「でも、あの先生、何か隠していますね。今のだって建前にしか聞こえません。隠していることが事件に関係あるとは限りませんが……」

宮田は何を隠しているのか。

もしかしたら美生の思い過ごしかもしれない。探偵とは、全てを疑わないと気が済まないのだろうか。



2人は並んで座っていたが、美生のアイスティーが全然減らないので谷津倉は向かい側に移動した。先ほどまで宮田がいた場所だ。まだソファーが温い。直射日光が目に入ったのでブラインドを下げる。

音楽が鳴り始めた。クラシックだ。

全く知らない曲だけど聞き入っていると突然切れた。

「もしもし」

隣の少女がスマホを耳につけている。どうやら彼女の着信音らしかった。

セーラー服にツインテール。どこにでも居そうな子だが、着信がクラシックとは珍しい。どこかの音楽学校だろうか、と見ていたら彼女と目が合った。

すると彼女は微笑んだ。明らかに電話の内容で笑っている様子ではない。谷津倉に微笑みかけたのだ。

今時の子はませているな、と谷津倉は頬を掻いた。

いつの間にか夕日は沈み、店内の明かりがオレンジ色になってきた。夕食時なのか入店が続く。客が入り口横の椅子に座り始めているので、店内は満席のようだった。

アイスティーの氷は全て解け、ぬるそうに佇んでいる。美生はスマホをいじりながら体勢を斜めにしていった。

「飲まないなら帰ろう」

谷津倉が少し厳しめに言うが、美生はちょっと待って、と制した。

「これを見てください」

テーブルにスマホが置かれる。谷津倉は美生を見ながらスマホを手にした。画面はコメントで埋め尽くされていて、最新されるたびに文字が上へ移動していく。

谷津倉は内容を読んで、今日一番の悪寒が背筋を走った。


【近山の教師K、生徒と色恋沙汰ってマジ?】

【女子高生に手を出すべきではないな】

【生徒の写真ないの?】

【はいよ。生徒A】

【可愛いじゃん】

【この子になら殺されてもいいかなー】

【てか教師Kの死に顔やばくね】


掲載された写真は、遠巻きでぼやかされているが松本あかりで間違いなかった。学生証の写真なのか制服姿で真正面を向いている。名前こそ伏せられているがわかる人ならわかる。

「何だこれ」

谷津倉は釘付けになった。流れていく文字が記号に見えてくる。

「誰かが面白がって推測しているのでしょう」

「松本が犯人って決まったわけじゃない、悪意をもって誰かが流したんだ」

「悪意はないと思います」

谷津倉は美生を見た。彼女はやっとアイスティーに口をつける。

減ったかわからないが、喉が動いていた。

「面白がっているだけですよ、純粋に。松本あかりの気持ちなんて考えてもいない。いや、むしろ傷つくことを期待しているのかもしれない」

「それが悪意だって言っているんだ。やめさせる方法はないのか」

「ありますよ」

美生はスマホを取り返すと、画面を消した。黒い画面に天井が映る。

「沈黙するんです、ただひたすら。反応すると奴らは面白がってしまいます。1週間もすれば新たな話題に移りますよ」

奴らって誰だろうか。

谷津倉はよくわからず、曖昧な返事をした。

テレビのニュースと同じだろうか。先週のニュースのトップなんて覚えていない。

横にいる2人が席を立った。いつの間にか皿があり、空っぽになっていた。少女はまた谷津倉を見て、それからレジへ向かった。あんなに見てくるということは、もしかしたらお姉さんが近山の生徒で間接的に知っている可能性もあるな、と思った。



「さて、状況を整理しましょうか。黒田は朝礼台に登ってから苦しみ始めましたよね」

谷津倉は頷く。

「青酸カリって無味無臭じゃないんですよ。それに人を確実に殺すなら3グラムは必要ではないかと言われています。3グラムの粉を、全校生徒の前でタイミングよく飲ませられますか?」

校庭で、朝礼が行われているところを思い出す。1人の黒い影が出て来て、朝礼台に登ろうとする黒田に襲いかかる。

「あ」

谷津倉は、水を見た。最初に運ばれて来た水は、3つのグラスとも氷が溶けていた。

「水が。ペットボトルに入った水があったはずです。あの日は暑い日で、熱中症予防で水筒持参が許可されていましたから。黒田先生はいつも市販の水を持ち歩いていました」

「そのペットボトルに入れられたと?でも新品を開けたらバレますよ。色や匂いで絶対にバレます。炭酸水ならまだ可能性があるかもしれませんが」

もしかしたら奇跡的に気づかなかったかもしれない。でもペットボトルから毒物が検出されたら警察はもっとわかりやすく動いているだろう。

黒田はいつ毒物を摂取したのか。いくら考えても何も思いつかなかった。


          *


「そういえば、あの日って如月もいましたよね、金髪の3年生の」

突然の話に谷津倉は動作を止めた。

職員室にいるのはこの時間に授業を持っていない先生だけだ。

谷津倉が授業で使うプリントを作っている最中であった。井上が通りかかったようで、こう話しかけてきたのだ。

手にマグカップを持っており、コーヒーのいい匂いが漂っていた。

あの日は事件の日のことだ。

「ほら、保健室で」

ああ、と思い出した。目を覚まし、ぼんやりしていたが、確かに如月月子は保健室にいた。

「容疑者同士がお互いのアリバイを主張してもダメですよね」

井上は乾いたように笑った。谷津倉が固まっていると、

「疑われることは気分が良くないし、他の容疑者が生徒なら庇いたくなります。でも、それ以上に真実を明らかにしてほしいですね」

コーヒーを飲む。ずずっと音がした。

「すいません」

「何の謝罪ですか」

「僕があの日、倒れていなければ井上先生は朝礼に参加でき、疑われることはなかったはずです」

井上はまたコーヒーを飲んだ。今度は音がしなかった。

「大丈夫ですよ、むしろあいつの死ぬところを見なくて良かった」

黒田と井上。2人が顔を寄せ合って談笑している姿を思い出す。

「井上先生」

谷津倉はノートパソコンを閉じ、真っ直ぐに見つめた。

「真実が知りたいなら、隠していることを話してくれませんか。黒田先生を殺した犯人を知りたくないのですか」

「谷津倉先生」

井上が前の席に座った。席の主は、授業中で不在だった。

「あれから考えました。やっぱり話すべきですよね。私は身勝手な理由で伏せていました」

そして姿勢を低くする。机が散らかっていてコーヒーが置けず、コーヒーも低くなる。

「谷津倉先生と、警察には話しましょうか。但し絶対に秘密にしてください。黒田の名誉のためです」

谷津倉もつられて低くなり、目線の高さを合わせた。

「あと、昨日の子にも言っていいですよ」

井上はゆっくり立ち上がる。

「如月は、」

声が大きくなってしまった。井上はそのあとがわかったようで答えてくれた。

「宮田先生のパソコンを触っていました。なんでも先生から許可を取っていたそうで。詳しくは宮田先生に聞いてください」

萩原月子は保健室によくいる。月子のように教室に寄り付かない子は自然と保健室に流れ着く。宮田は受け入れてくれるので、救われている生徒も多いだろう。

月子もその中の1人だ。よく、月子の担任が宮田に泣きついているところを見た。

そういえばあの夜、月子はなぜUSBを取りにわざわざ夜の学校にきたのだろうか。

事件に関係なくても知りたいと思ってしまう。



放課後になり、谷津倉は教室をひとつひとつ点検していた。今日も生徒たちは強制的な帰らされるので、残っていないか確認しているのだ。

時々、机に座って駄弁っているので注意する。生徒は返事をしながらもカバンを持つ仕草さえしない。舐められている、と痛感するしかなかった。

「なんか実感ないなー。涙も出てこないや。本当に死んだのかな?」

「エラってかわいそうだね、死んでも誰も悲しまないじゃん」

「だってうるさかったもんアイツ。」

「わかる、消えて良かったわ」

大抵は事件と黒田の話だった。

「エラって何?」

気になって、会話に入ってみた。生徒たちは同級生のように谷津倉を話の輪に入れた。

「黒田のことだよ。アイツってエラが張っているじゃん。エラだけでアイツのことってわかるし本人気づかないし面白いでしょ」

生徒たちは楽しそうに笑った。酷いあだ名だ、と思う人はいないのか。自分も裏でなんて言われているか急に不安になる。

「あ、谷津倉先生は呼び捨てかな?特に特徴はないし、髪の毛伸ばしちゃったし」

夏前の、髪が短い時期になんて言われていたか、今はもう知りたくない。笑い声を遮るように、早く帰るよう諭した。ここで机のひとつでも蹴っていれば舐められないだろうか、彼女たちの嫌悪感が高まるのが怖かった。

下駄箱の横を通って、職員室へ向かう。

開放的な昇降口から秋の匂いがした。首元を撫でる風が冷たい。

「先生」

顔を上げると、月子がいた。

あの日のように誰かを待っているような仕草で。誰かって僕か。僕を待っていたのか。

彼女の猫っぽい顔が段々と伸びていき、1人の男性になる。同じ国語教師の男だった。待っていたわけではなく、すれ違うだけだろう。

「谷津倉先生、さっき電話があったんですけど、」

男は非常勤講師で、国語の先生以外と接点がない。故に学校関係の話は身近の先生に手当たり次第報告をしていた。今回はたまたま谷津倉がいたから話しただけだろう。

谷津倉は内容を聞くと、返事も忘れて引き返していた。自然と保健室に向かう。静かな廊下で足音が響くが、それが心臓の音だと気付いたのは着いてからだった。

いるかわからない。昨日の今日で気まずい。考えをまとめる前に手が扉を叩いていた。

「どうぞ」

宮田の声がした。扉を開けると彼女は机に向かって何やら書き込んでいた。

軽快なインク音が一定のリズムで鳴っている。足を組み、メガネをかけながら。手慣れた作業のようだった。書類は名簿だろうか、全校生徒の分はありそうなほど分厚い。

宮田は一瞥するとまた書類に取り掛かった。

「身体測定の記録をしているのよ。子どもってすぐに成長するわね」

昨日と別人のようだった。いや、昨日が違う人だったかもしれない。

「如月月子って来ていますか」

「いいえ」

宮田は即答した。書類をめくり、手元へ引き寄せる。1クラス分が終わったのだろう。少しめくって溜息をついた。これから取り組む膨大な仕事量を嘆いているようだった。

「先生は知っていましたか」

「何を?」

「如月は進学したがっているかもしれません。表向きは就職するって言っていますが」

初めて宮田の手が止まった。何か言おうと口が開いたその瞬間、

「やめて」

と、カーテンが開いた。

ベッドを隠すようにカーテンが閉まっていたのだ。

中から如月月子が出てくる。寝ていたのか、髪の毛が逆立っていた。

月子はもう一度、やめてと言った。

「根拠はあるのかしら」

宮田は谷津倉に聞いた。

「先ほど大学から連絡がありました。こちらの生徒が見学に来るという趣旨でした」

夏から秋にかけて、早ければ春。3年生は受験のため、大学見学をする者が多い。

近山高校は大学見学の際、理由と行き先を提出、先生同意の末にアポをすることが必須だが、月子は隠れて大学に連絡していたらしい。

見学に来る日を早めに知りたい、という大学側の連絡だった。まさか生徒が学校に内緒で来るとは思っていなかっただろう。

「本当なの?」

今度は月子に聞いた。

月子はゆっくりと宮田の後頭部を見つめた。

「……はい。もっと知識が欲しくて」

「貴方には」

宮田は頭を抱え込んだ。腕の隙間から、ピューと空気の抜ける音がする。

「……だったら講演会とか、調べるだけじゃ駄目かしら。貴方は早く社会に出るべきよ」

大学は理系だった。テレビに出るような教授が数人在籍する有名なところだ。月子は海洋地球科学科という、環境や宇宙、生物に特化した学部を希望していた。

「学費の問題か?」

成績や素行の問題もあるが、谷津倉は先生として生徒の向上心を無視できない。

宮田のメガネが光に反射する。口は引き締められていて、顎に皺ができている。

何を考えているか分からなかった。

「宮田先生、ごめん。でもやっぱり私は大学に行きたい」

泣きそうな顔だった。

「月子さん」

宮田が振り返ると、月子は堪えきれず涙を流した。頬を伝う前に手で拭われる。

「先生が私を気にかけてくれて嬉しかった。職に就くことだって、私のためだって分かっていた。でもね、でも、私は好きなことが学べる大学に行きたいの。お母さんには話してある。家計が厳しいから私の稼ぎと奨学金で何とかやりくりする。浪人する覚悟もある。塾に行くお金はもちろん私が払う。先生、私は恵まれているけどまだやりたいことがあるの」

早口でまくし立て、それから堰を切ったように泣き出した。

少女は泣き声を出さないように唇を噛む。涙を抑えていた手は鼻の下に移動し、仕切りに鼻水を拭っていた。

谷津倉は見てはいけない、と思い、机の上に視線を移した。

宮田が立ち上がり、洗濯機の方へ移動する。洗濯機は口が大きく開いており、柔軟剤の香りがした。すぐ横で乾かしてあるタオルを1枚とる。知らないキャラクターがプリントされているがくすんでいた。

月子にタオルを渡すと、彼女は遠慮がちに顔を覆った。

「月子さん、貴方が本心を言えなかったのは、私のせいね。勝手に月子さんの最善をつくって押し付けていたわ。貴方に頼られて舞い上がっていたみたい。先生失格ね」

昨日の、宮田の先生ではない本人の声がした。少女の肩に触れようとして、空気を掴んだ。

「黒田に、」

タオルの隙間から声がする。まだ泣き止まず、肩が震えていた。

「黒田に気づかれて、お前には無理だから諦めろ、って言われた」

如何にも言いそうだった。

「確かに私は授業に出ていないけど最低限の出席はしているし、髪色だって、ただの髪の色よ。それだけで判断して欲しくない」

「髪色は決まりよ。生まれつき茶髪の子だって黒染めされる。確かに黒髮だから真面目だと判断するのは可笑しいけど、ルールを守れているかどうかが大切なの」

もう先生の声になっていた。

「だからって私は黒田を殺していない。むしろ大学に受かって見返してやろうと思っていた。例え浪人しても」

「わかっている、わかっているわ。貴方は現実で人を殺すような子じゃないって」



それから月子は1時間ほど泣いていた。ずっと思っていたことが今、爆発して体から出てきたのだろう。自分でもコントロールできないほどの感情を。

保健室内の洗面台で顔を洗い、鏡で確認している。宮田は机の上を片付け始めていた。今日はもう仕事をする気になれなかったのだろうか。

火種を撒いた張本人は、ただ見ていることしかできなかった。

谷津倉先生、と宮田がメガネを外した。眉間の部分にメガネの跡が付いている。

「なんだかごめんなさいね。昨日も今日も変なところを見せちゃって。あれから思ったけど、私って生徒と接する時に、個人的な感情が入ってしまうのね。良くないことね」

「いえ、僕こそ無神経に聞いてしまって……。でもしょうがないですよ、人間ですもん」

飲み会のたびにいつも思う。先生は先生という生き物ではなくて、先生のふりをしている人間だと。

宮田は首をひねり、眉を下げて笑った。いまいちピンとこなかったようだ。

「じゃあ事件の日、如月が保健室でパソコンを触っていたのは進路関係を調べるためか」

宮田は驚いたように月子を見た。知らなかったようだ。

月子は何回か洗顔したが、目の周りは赤くなっていた。タオルを濡らし、目に当てようとしているところだった。

「そうだよ。学校にパソコンを持ってくるのは禁止だから、先生のやつを借りて調べていたの。USBがあればデータを持ち運べるし」

タオルが落ちないように見上げる。金髪が肩から落ち、背中に流れた。

「宮田先生、パソコン室を使うように言わなかったんですか。幾ら何でも優遇しすぎです」

「だって体調悪い生徒がパソコン室に行くのはおかしいかなって」

「仮病でしょう」

谷津倉は月子を見た。月子の後ろ、窓の外はもう真っ暗で、月は見えなかった。

「如月、正直いうとこれから受験するのは厳しい。お前の行きたい大学なら駅前の塾が受験対策をしているはずだ」

「知っている、もう塾の目星はつけている」

月子がカフェで向かい合っていた男、あれはもしかしたら塾の講師だったかもしれない。成績を見て、現実を言ったのだろう。

「あとは学校のバックアップだ。塾はあくまで学校の手助け。勉強を教えて欲しい生徒を無視する先生はいないから。理系なら、山田先生、沖田先生、あとは井上先生とか」

「山田か沖田かな。とりあえず聞いてみるよ」

タオルを取り、上履きを片足でたぐり寄せた。

「井上先生は?」

「ちょっとやだ」

井上は黒田と仲がいい。もしかしたら愚痴を聞かされていたかもしれなかった。

月子はつき物が落ちたようにすっきりとした様子だ。

パン、と保健室内で音が響く。宮田が両手を叩いたのだ。

「はい、じゃあ撤収しましょう。谷津倉先生は月子さんを送ってあげて。私はまだ仕事があるから」

「いい、1人で帰れる。塾も寄って行くし」

そう言って顔を背けると、さっさと出ていってしまった。

ズボンのポケットから車の鍵を出そうとしたが、握りしめるだけで終わった。

「泣き顔を見られて恥ずかしかったのよ。明日から何事もなかったように接してあげて」

宮田は気にする素振りもなく、椅子に座り直した。白衣の袖をまくり始めている。

今日の貴方のようにですか、なんて聞けなかった。


          *


「なるほど。だから如月月子は容疑者から外したんですね、了解です。急な進展に驚きましたよー、探偵の面目丸潰れですね。いやいや、責めているわけじゃないです。先生だからこそ生徒の気持ちが汲み取れたってことですね。え、井上先生から話が聞けるって本当ですか?しかもこちらの正体に気づいているかもしれないと……。いやー、本当に探偵の立場がないですね……。井上先生の話を聞いてから青酸カリの出所を調べますね。え?いやいや、サボっていたわけじゃないですよ、色々と用事があって……。……はい、じゃあ3日後に駅前で」

美生が壁に向かってお辞儀をしている。

切るタイミングが分からず、通話ボタンの上で親指が震えていた。美生と谷津倉のどちらが切るかの攻防戦は、美生の勢いで閉じたらしい。

切れた画面を見つめていたら、

「で、どうなった?」

と水樹が話しかけてきた。

レンガ劇場のロビーに、美生と水樹はいた。昨日と違うのは、桜井と酒井の姿はなく、代わりに青年が1人いた。

水樹と同じくらいの長髪を後ろで縛っている。大きめな黒目と、細い眉毛はビジュアル系のようだった。全身黒ずくめで、1メートル以内に入ると強い香水の匂いがした。水樹はこの匂いが苦手でなるべく近づかないようにしている。

今も、2人はなるべく離れた位置になるようソファに座っていた。側からみると不自然なほどだった。

美生は迷った末に、カウンターの前に座った。今日はいつもの服装ではなく、長袖にジーンズというラフな格好だ。

「容疑者の1人、如月月子の容疑が晴れました。大学進学を隠していたそうです。内申どころか将来が絶たれるようなことを彼女がやらかしますか?」

「あの不良か。んー、あんまり事件に関わりがないし削るか」

水樹は紙の上の、人物の名前欄にある如月の名前に線を引いた。

「となると、松本あかり説が濃厚かな。井上先生でも面白いけどね。先生同士の小競り合いとか」

紙を口元に当て、肩を震わす。今日の水樹はご機嫌だった。

「結局その谷津倉ってやつが事件を進めているのか。警察は使えないな」

「警察は動いていても情報が来ないので……。もう少し待っていてください、岡田さん」

岡田、と呼ばれた青年は天を仰いだ。天ではなく、シャンデリアしか見えない。

カ、と痰を切るような音を出し、足を組む。

「ねえ、鈴木って来てないの?あいつに貸していた映画、そろそろ返して欲しいんだけど。全然返信ないしさ」

「鈴木ちゃんは学校で忙しいみたいですよ。昨日見かけましたけど」

「まじ?美生経由で返して貰えば良かったわ」

岡田は足を組み替える。ソファの前にローテーブルがあるので、組まれている足は窮屈そうだった。

「岡田、お前そろそろバイトの時間だろう」

水樹が言った。

「やっべ、帰るねー」

やたらに装飾してある腕時計で確認すると、岡田は慌てて出て行った。確か、ファンから貰ったって自慢していたものだ。

「何をしに来たんだあいつ」

「忙しい中、顔を出してくれたんですよ」

「忙しいってバイトだろう。もっと本業を頑張ってくれよ。俳優志望だろう」

美生は足をバタつかせた。この椅子は高いので足が床に着かないのだ。

「志望じゃなくてもうなっているでしょう?」

「さあ、どうかな。明確な線引きはないからね。君と違って」

黙り込んだ美生によって、沈黙が続いた。水樹に気にした様子はなく、ひたすら紙に向かって書き込んでいた。

時計の針が響く。1、2、3、4、……数え始めて59の時、水樹は唐突に立ち上がった。

「できた、やっぱりこれで行こう」

「谷津倉先生は削るんですか?」

「ああ、美生1人で話を進めてくれ」

頬を膨らませてみる。不安が口いっぱいに広がった。

ふとソファを見ると、ビニール袋が目に入る。中身はDVDだった。岡田が鈴木に貸すつもりで持ってきたようだった。

「水樹さん、忘れ物がソファに」

水樹は興味なさそうにビニール袋を見た。

「ああ、しょうがないから預かっておくわ。岡田のやつめ」

紙が床へ落ちる。そこには、美生、黒田、松本、井上の名前があった。

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