2022年5月10日

低空飛行だけれど、なんとか気持ちは落ち着いてきていた。

仕事中、元彼女のことを思い出してもそこまで心が大きく動くことはなかった。確かに気分が落ち込むのは落ち込むが、その深さはこれまでに比べてだいぶ和らいでいる。

仕事の内容が少し難しかったからかもしれない。

そのおかげで他のことに集中することができたのだ。

とはいえ、頭が完全に冴えていたわけじゃない。やらないといけないことは分かるが、その手順を思い浮かべるのに少し時間がかかる。

まだ完全に立ち直れていないのだろうか。

僕は雑念に振り払うように仕事に集中する。今日は少し長く仕事しておこう。家に帰ってもすることはない。1人でいるよりはずっとましだった。

僕は空っぽだ。抜け殻だった。

痛みは消えかけているけれど、憂鬱で退屈だった。

そんな毎日が延々と続くと感じる。

ずっと職場にいるわけにはいかないので、作業を切り上げて帰途につく。

自宅の部屋はいつもどおりだった。帰っても真っ暗な部屋がいつもどおり待っているだけ。

1日1食の食事も適当に済ませ、帰りのコンビニに買っていた野菜ジュースを一気飲みする。

流石に1日分のカロリーを摂取できていないと思うけれど、食べるのがめんどくさかった。

その習慣は1人暮らしを始めてからしばらく経ってからのことだった。朝食を食べる時間があるなら寝ていたかったし、昼食はナッツ類で済ましていた。

食べていないはずなのに、お腹が空いていない。とりあえずの食事が終わり、暇な時間を持て余す。

何か新しいことを始めたかった。

暇になった週末は何しようか。

僕はネットで面白そうなものを探し始める。

ちょうど日曜日に2時間程度のイベントがあった。早速申し込んだ。

ほんの少しだけだが、楽しみができた。

これで1週間を頑張ろう。

僕は眠気に任せて目を閉じた。

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