2022年5月11日
僕の感情はフラットだった。
ひどく落ち込むこともないし、楽しいと思うこともなくただ時間が過ぎていく。
洗濯物を済ませ、職場に行き、仕事に取り掛かる。
少し難しい内容で上手くいくかどうか分からない箇所があっても感情の起伏がなかった。
いつもだったらどうすればいいか分からず、焦り始める頃合いだったがそういうことがなかった。
とりあえず今のことだけに集中しようとしていた。
なんとなく間に合うだろうと思っていた。
作業は進めている。
それだけしか思っていなかった。
早く時間が経って家に帰りたい。
今日帰ったらすぐ寝よう。早く時間が過ぎていけばいいと思っていた。
定時が過ぎ、少し残って帰る。
家に帰れば溜まったゴミを出しに行く。使っていた彼女の歯ブラシ、お茶碗、スープカップ、コップにお皿。
思い出の品物をようやく全て捨てる。そうすればもう少し気分が落ち着くと思った。
やることはやっている。もう気持ちはない。
捨てることに躊躇いはなかった。
ゴミ捨て場から家に戻った時、特に悲しいとは思わなかった。
その後、家族から電話がかかる。
母の日のプレゼントがようやく届いたからだ。母にはすでに顛末を話していて、心配で電話をしてくれたらしい。
ちゃんと食べているかと聞かれて、一食は食べるようにしていると話すとひどく心配された。
心配するのは分かっているし、その気持ちも分かる。いつもなら適当に受け入れることも受け流すことも出来るが、それすらもめんどくさく静かな口論となった。
お互いに言いたいこと言い合って、ついには根負けした母が電話を切る。
自分の気持ちで精いっぱいだった。他の人への配慮が欠けていた。
言い過ぎだったなと電話を終えてから後悔する。頭の方では整理がついているが、感情はまだ終わったとは言い難い。たぶんまたぶり返している。
これから少しずつこの気持ちを癒やしていこうと決める。
少しずつでいい。少しずつ前に向けるようになっていればいい。
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