第11話 魔法少女と戦隊モノの違い

 いつもの訓練後の反省会でハカセに質問をした。


「ハカセ、ちょっと思ったんですけど」

「おお、ラックから意見とは珍しいな。ああ、どんなキャラ設定にするか決まったか?」

「い、いえ、それはまだ検討中でして……」

 

 やっぱまだ覚えてたんだ。


「それではなんだ?」

「私達、魔法少女って言ってますけど、これ、どちらかと言うと戦隊ものじゃないですか?」

「……なに?」


 そう、昨日、妹と一緒に戦隊モノドラマを見ていてふと気がついてしまったのだ。

 

「戦隊モノには司令官いますし、年齢的にも上で私達に合ってるって言うか……」

 

 ハカセが沈黙。

 

「ああ、確かにな。でもねっ」

「待てコオ」

 

 ハカセが手でコオの言葉を制する。


「ここからは私が話そう。ラック」

「は、はい」


 ハカセのただならぬ迫力に私は顔を引き攣らせる。


「君は……君は私の作った魔法少女を戦隊モノ如きと一緒にするのかっー!?」


 うわっめちゃくちゃ怒ってる!


「で、でもっ」

「戦隊モノが変身で全裸になるかっー!」

「えっー!?そこっ!?ハカセの魔法少女と戦隊モノの違いってそこだけ!」

「まだある!戦隊モノはところ構わず変身するが、魔法少女がところ構わず変身してるか!」

「いや、そういうのもあるな」

 

 コオがボソリと呟くのが私には聞こえたが、ハカセには聞こえなかったようだ。無視しただけかもしれない。

 その後、私はハカセのよくわからない説教を受ける事になった。

 わからないのは魔法少女の知識の少ない私だけかもしれないけど。



「ハカセ、時間です」

「あ?ああ、そうだったな」


 司令官の言葉でハカセの説教が終了した。


 ありがとう、司令官!初めてあなたがいい人に見えました。

 と、感謝を込めた笑顔を司令官に送ったら、


「あーん?」


 みたいな顔で返された。


「では会議はこれで終了とする。ハカセ、この会議室は二時間延長しておきますので続きは二人でどうぞ」

「え?」

「おお、流石気がきくな!」


 ハカセ満面の笑み。


 もしかして私のためじゃなくて、自分の都合だったのっ!? 

 前言撤回!

 やっぱり司令官は嫌な人よ!

 なんで私にばっかり意地悪するのよっ!

 もしかしてさっきので司令官不要説を唱えたと思われた?

 職を失うと思って怒りを買った?

 でも嫌々引き受けたような話してたわよね!?

 ね!?



 ともあれ、私は延長した二時間きっちり、ハカセによくわからない説教されたのだった。

 ちなみにコオも残ってその豊富な知識で補足してくれたけどやっぱりわからなかった。

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