第6話 次の休み

 次の休みである日曜日、

 結婚候補の彼と私。

 待ち合わせ場所は少し広めのファミレスだった。

 なるべく個人情報の取り扱いに配慮した広めのテーブル間隔が特徴的だ。

 ここなら個人の商談でも気兼ねなく話せるだろう。


「もう少々お待ちを。会わせたい人がいるんです」

 今日は彼の友人がくるという。

「ドキドキしますね」

 数分後、店内に案内されてきたのは2人だった。

 書店で出会った友人夫婦。

「由美!?」

「やっぱりあなただったのね」

 親友はしたり顔だ。不思議に思っていると彼が説明してくれた。

 旦那様の親友なのだと。


「ええええええええ?」

 陳腐な驚きしかできないが、世間は狭いということだ。

 親友の旦那様から紹介される。


「改めて紹介するな。水巻英治。


 オレと同じ大学で同じゼミだった。


 そこでの女遊びとかもなかったしなぁ」


「あなたの周りの男子って奥手で、


 草食というか絶食男子って感じで」


「俺の周りまとめてディスるなよ」


「ウフフフフ。

 おなかの子がいる状態で


 汚い言葉使わないでいただけるかしら?」


 彼女の子育てはもう始まっているようだ。

 胎教というやつで、

 クラシックやお気に入りの曲を聞かせているのだとか。


「じゃあ今度は花嫁候補をご紹介するわね。

 高校から3年間クラス同じで、親友の牧村多恵。


 私たちの大学はFランクと呼ばれる大学だけど、


 彼女はレポート課題では教授にいつも褒められるの。


 同年入学の中ではレポート作成能力は

 5本の指に入るのじゃないかしら?」


「まだまだだって。

 4回生の先輩入れたら結構後ろのほうだと思うし。


 実際、文章能力はあっても社会ではあまり使わないし」


「本当にね。多恵は体力なくってね。

 新卒の時は正社員だったけど、


 3年たたないうちに契約社員とか

 派遣とかになったんでしょ」


「まぁね。睡眠時間10時間以上

 必要なロングスリーパーにはきつかったわ」


 正社員としての失敗できない重圧とか、

 ベテランパートさんたちの圧力とか。


「私のとって生涯年収が下がるのは悔しいけど、

 派遣としているのが楽なんだ」


 将来的には不安要素しかないが、


 何事も向き不向きがある。

「あ、結婚考えたのは、

 お金の面だけではなくって、淋しいからよ」


 友人夫婦からひやりとした質問が来た。


「どこで知り合ったんですか?」

 これには二人して沈黙するしかない。


 お互いの交友関係もよく知られていて、


 とても友達に紹介してもらいましたとも言えない。

どの友達か、根掘り葉掘り詳しく

聞かれてしまうだろう。

 二人で顔を見合わせてしまう。

「えっと……」

「んーっと」


「「出会い系アプリです」」


 親友夫婦はしばし爆笑した。


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