5話 出会った人
日曜日の行きつけのカフェ。
店内一番奥のソファー席が私の婚活場所。
ただいま5人目と初対面中。
172センチで高学歴。
マーチより少し上の大学だったらしい。
今は上場企業に勤めている優男。
私はこれまでの恋愛経歴をかいつまんで話した。
「よく振られてしまって。
一人で生きていけそうだって」
「僕もなかなか続かないんです。
女々しいとか言われたりでなかなか。
これよかったら読んでみてください」
差し出されたのは「女性性と男性性」という本。
カフェでの会話はこれで終わり。
彼は仕事の呼び出しを受けたためこれでおひらきとなった。
連絡先を交換して別れた。
仕事終わりの寝る前のSNSチェックの時間を
読書の時間にあててみた。
5分のつもりが15分使ってしまっていた。
面白かった、私は長女だし
甘えたくても甘えられる状況ではなかった。
確かに男勝りな感じである。
「ページの端が折ってある。
『女性らしい男性の特徴』
あの人も似たようなことで悩んでいるんだ」
今まで上手く恋愛出来なかったのは
性格の癖のせいなのかも知れない。
この人とは気が合うのかも。
もっと知りたい。
結婚目的ではあるが、
アプリの出会いで気になる人ができるなんて
不思議な気分だ。
もうラインアカウントを交換してある。
こんなにスピーディーに進んで良いのかと
積極的な自分にも相手にもビックリしてしまう。
ドキドキしている。
なぜあの人にときめくのだろうか。
こちらの条件はクリアしている。
相手が嘘をついていなければの話にはなるが。
後はメールでの会話である。
「親御さんにはなんていわれているのですか?」
「早く結婚しろと。でも仕事もありますし。
年を取ってくると責任も重くなりますし、
理解してくれる人がいないと寂しいでしょう?」
「確かに。
アプリで知り合ったなんて
納得してもらえるものでしょうか?」
文面を見て、苦笑い。
「無理でしょうね。
いい人がいたら友人の紹介で
と口裏を合わせていただくことになりそうです」
「私もそうするしかなさそうです」
「でき婚してしまった同級生だっていますから。
今はそれほどおかしいことではないはずなんですが、
親の頭が固くて」
「ですよね」
「もし、結婚するとしたら式などはするのでしょうか?」
「相手に寄りますね。僕、友達少なくて。
そういうにぎやかなところって苦手で」
「そうですよね。お金もかかりますし、人出だって」
「しきたりとしてはわかるんですけれども、
友人たちの連休を使わせてしまうのも悪いかなって」
「ええ。もうお子さんだって
いらっしゃる人も多いでしょうしね」
祝電を送るだけでも大変だろう。
「あの、もしよろしければ……
僕の友人夫婦に会っていただけませんか?」
「ええ。」
「では今度の日曜日、大丈夫でしょうか?」
にこりと微笑む。
「はい。空いています」
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