第3話
放課後の教室にて、二人によるすごろくが始まる。
じゃんけんにより、彼が先攻に決まった。
彼は最初はすごろくと聞いた時、はてなが浮かんだ顔でこちらを見ていたが、何か理由を聞かれる前に、
「どうしても、い、今やってほしいの!!!私と!!!」と強く、勢いで押した。そしたら、しぶしぶ納得したような顔をしながらも席についてくれた。
勢いで押して悪いことしたかなという気持ちがちらつくが、振り払う。うん、大丈夫!と自分に言い聞かせ、席についてくれた彼に説明をする。準備は彼が来る前に事前に済ませてある。
「これは、すごろくです」
彼の困惑の表情が見て取れる。だが、黙って聞いてくれる。そりゃ、そうだ。見たままの状態を言ったのだから。一つ咳ばらいをはさみ、仕切り直す。
「これは、スタートからゴールまでの間に20マスあります。今は隠れていますが、イベントマスが一部にあります。イベントは別の紙に書いてあります」
別の紙を見せながら進める。それに対して、彼は相槌をうちながら聞いてくれる。
私は、机の横から駒を取り出し机の上に置く。
「これが駒です。赤が私です。青を使ってください。・・・・ここまでで質問はありますか?」
「・・・・・イベント?は何があるの?例えばでも教えてもらえると嬉しいんだけど」
「内容を教えることはできません。無理なものはないはずです。・・・たぶん」
今、たぶんだけ声が小さくなったような。彼女の顔を見返すが、真剣な目で返される。・・・やってみるか。
「ほかに質問は?」
「その紙は見ても?」
「ダメです。全部書いてあるので。・・・その時のお楽しみです」
駄目であった。まぁ、いいけども。彼女は不正なんかしないだろうし。
「・・・質問は?」
「もう、特にないかな。とりあえずやってみようか。・・・・また、あったら質問していい?」
「大丈夫です!・・・・普通のすごろくですよ?心配しないでも」
彼女はしっかりとした口調で説明をし、安心させるかのようにやさしく言った。
なぜという不思議よりも、すごろくの中身が気になってきた。
教室にサイコロが転がった音が響く。サイコロの目を見ると、4がでた。僕は駒を4マス進める。駒を止めると、彼女はマスと紙を見比べる。マスには何も書かれていない。
「何もなしです」
彼女は普通に言ってるが、顔に悔しさが少し残っていた。・・・・・最初だしね。
それからも、すごろくは続く。お互いに3回駒を動かしたことになる。彼は全くイベントマスに止まらないまま10マス目になっていた。私が1回止まり、手を重ねただけである。
え、ねぇどうして?そいう能力がついてるの?このままでは計画が。。。。
うーん、普通のマスにだけ止まるな。
「・・・次は止まるかも!」
と彼は言う。完全に気を使わせている。
そして、彼は13に止まる。そこには、何も書かれていない。
気まずい空気が流れる。彼は「次は大丈夫!だいじょうぶだよ」と声を小さくしながらも言ってくれる。どうだろうか。私は無言でサイコロを転がす。11に止まり、イベントマスである。内容のとおりに彼の横に移動し、困惑してる彼の頬っぺたをつつく――――
彼は18マスに到達し、もうすぐゴールである。一応、途中で説明はした。ゴールをすぎる目でもゴールを超えたら勝ちだと。え?もう終わるんだけど。
私がサイコロを転がすと、5が出て、19になる。逆転だ。確かこのマスは・・・・
僕は、4を出してゴールした。正直さっきのでドキドキが止まらない。サイコロを転がすのも精一杯であった。彼女とも顔が合わせられない。
「・・・おめでとう。ゴールです」
彼女も顔を合わせず小さな声で声をかける。「これを・・・」と言われて、手紙を渡された。そして、チャイムがなり、一般生徒の下校時間を告げる。何かを言いたそうにしていたが彼女は、
「じ、じゃあ解散!!」
と言って、急いで片付けをして、ドアにいく。振り返って、
「手紙は家に帰ってから読むこと!!」
と言って、出ていった。
僕だけが教室に取り残された。
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