第2話

 私は今日勝負に出ようと思う。それは、思い人に気持ちを伝える、もしくは意識させるのである。準備もしてきた。覚悟も。だけど、本番を前にしてくじけそうである。・・・・泣きそう。うー、本当に吐きそう。でもやらなくては!!!


 私は好きな人がいる。友達としての付き合いの始まりは小学校高学年までさかのぼる。私は転校生であった。緊張しいの私にとって転校はとんでもないイベントであった。はじめましての人と話すのも緊張して上手くいかない私にとって不安しかなかった。そんな私に根気強く話しかけてくれたのが彼だった。そのおかげで、そのあとの生活がどんどん楽しいものに変わっていった。

 そして、今高校まで同じ学校でこれた。これからはどうなるか分からない。進路を真剣に考える時期が迫ってきた。このままの状態ではいけない。私は、この関係を一歩でも進めたいのである。だって、家が近いとはいえこれからの起こることはわからないのだから。もし、疎遠になってしまうことを考えると私は――――


 そして、今日計画を実行する日になった。もうこの時点で、心臓がドキドキのバックバクである。彼とは、近くの公園で待ち合わせにしている。待ち始めて、10分ぐらいで彼が来た。

 「お、おはよう。はやいな、待った?」

 「うんうん。そんなに待ってないよ」

 「ごめん」

と申し訳なさそうに彼は言う。それを「大丈夫だから」と笑いながら流す。だって、緊張しすぎて早く着きすぎたというのが事の真相であるのだから。・・・といっても本当の待ち合わせ時間よりも早いので彼自身も早いのである。そして、

 「ね、ねぇ、今日時間ある?放課後ここに来てほしんだけど」

と言いながら紙を渡す。よし、渡せた!

 「・・・いいよ。ここに行けばいいんだね」

 「う、うん」

と言葉を交わした後に「それじゃあ」と別れた。渡せた、わたせた!第一段階はクリア!・・・大丈夫だったかな。変じゃなかったかな。声が裏返ったりしてなかったかな。手紙とかおしゃれな物のほうがよかったかな。で、でも、渡せたし。返事ももらったし。などと不安な気持ちとうれしい気持ち、緊張が入り交じった状態で早足に学校に向かった。


 放課後の事を考えると学校生活にあまり集中出来なかった。

 友達と昼過ごしているときも緊張が心を支配していることがわかる。友達は事情を知っている(というよりも一緒に計画した)ため、「しょうがないね。一世一代の大勝負だ!」や「大丈夫!準備してきたじゃん!」などと心をほぐしてくれようとする。そんな二人の言葉に救われながら、少し落ち着く。


 ついに、約束の時間がやってきた。私は早めに教室に入り準備を始める。片づけてある机といすから二セット取り、教室の中央に置く。日がまぶしかったため、少しカーテンを広げる。

 ・・・・緊張がすごい。時計の針の音が大きく聞こえる気がする。刻々と時間が迫ってきている。待ってる時間が永遠に続きそうな気もする。あついなと思い、窓を開ける。外からは心地よい風と部活動の声が聞こえてきた。

 少し余裕を持つためにも、窓からの景色を眺めながら彼を待つ。


 ドアをノックする音が響き。それに続きドアが開き彼が教室に入ってきた。

 さぁ、気張れ、わたし!本番だ!

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