第57話 地球滅亡への序曲③

 イサは今後起きる地球での日本陥落前後の戦争の推移をシミューションで眺めていた。

(日本と台湾が陥ちる時に、ロシア連邦もジョカの共産主義国家と合同で日本に攻めてきてはいるが、結局北海道を奪取するのが関の山か・・・。)

 日本海側からロシア連邦とジョカの共産主義国家の共産党合同軍は日本に攻めてきていて、その後関東攻防戦がおきて膠着状態に陥るが、そこに議会共産党を主軸としたグループがクーデターを起こして、国会議事堂、首相官邸、首相公邸、皇居を占拠する。彼らの用いた武器はカラシニコフ突撃銃を中心に拳銃のトカレフなども用いているが、すべて刻印を消されている。要ははジョカの共産主義国家から提供品で純正のロシア連邦製ではない。

 このときクーデターには複製体四号が主宰しているニッポン共産主義ネットワーク国際コミュニティが武装集団として参加している他、国会議事堂内部にシンパがいて手引きも行っている。

 そして、日本共産党が組閣を行い、現日本国憲法の停止、象徴天皇制の廃止、ジョカの共産主義国家への無条件降伏、日米安全保障条約の廃止を宣言する。複製体四号は組閣に参加はするが、首相には指名されていない。


 日本国の無条件降伏により、アメリカ合衆国日本駐留軍はすべて撤退に追い込まれる。


 クーデターから二週間後に天皇家や宮家、旧宮家全員の公開処刑が皇居で行われる。

 その後、共産党政権は国名を東海人民共和国を名乗ることを宣言。日本の名称が公式から失われることになる。

 そこからが地獄の釜が開いたといっていい。

 資産家や旧衆議院議員や旧参議院議員などの公開処刑に始まり、これが地方の議員や首長まで含まれる状況となる。

 後に東海の紅衛兵と呼ばれる事件である。


 一方これらの動きに対しアメリカ合衆国は宇宙軍を含めた、報復を開始、同時に脱出した日本人を組織してレジスタンスを作り、本州などに送り込む。


 日本国内でレジスタンスの活動により、脱出を促されて難民化する日本人が増えてくるが、レジスタンスの起こした抵抗運動に関して、ジョカの共産主義国家は手ぬるいと判断し、東海人民共和国を解体、東海自治区とする。


 この間、ヨーロッパ連合や世界各国は非難を強めるが、ジョカの共産主義国家は馬耳東風で受け流す。


 そして最大の悲劇がアメリカ合衆国でおこる。

 民主党支持者が合衆国内で一斉蜂起し、その占領地をオレゴン自治区やカンザス自治区のように名乗り、ジョカの共産主義国家への恭順を宣言する。

 それに対して、ジョカの共産主義国家は支援を名目にアメリカ西海岸に上陸、壮絶な塹壕戦となる。

 このとき投入されたジョカの共産主義国家の兵力の七割が旧日本国民だった。

 そしてジョカの共産主義国家はワシトンD.C.に核ミサイルの飽和攻撃を仕掛ける。幸いアメリカ合衆国首脳陣の多くはシェルターに避難が間に合うが、その後戦争はアメリカ合衆国内で泥沼化する。


 そして戦争が続く中、ロシア連邦は沿海州をジョカの共産主義国家にジョカの共産主義国家の国債と交換で割譲する。


 最終的にヨーロッパの一部だけが最後までジョカの共産主義国家に抵抗する状況まで地球の状態は悪化する。

 そして全世界の統一をジョカの共産主義国家が宣言後、各地で第三の紅衛兵と呼ばれる虐殺事件が横行する。

 ここで終わればまだ救いはあったのだが、もっとひどい状況が発生する。各地のミサイルサイロが人民解放軍の反乱軍に占拠され、北京が最初に消滅する。

 共産党書記長・国家主席は無事だったが、その反乱軍を鎮圧した後、今度は北京系の共産党政治局常務委員が反乱を起こす。身内の反乱に業を煮やして、国家主席は、鎮圧後に、主席経験者などからなる共産党の長老会・元老会を摘発、一斉処刑を断行する。

 しかし、その後も共産党党員による反乱は続き、結果的に、文明は崩壊し、地球は核汚染で酷いことになる。


 このことをうけてアマテラス銀河連合は、ジョカの大増殖と大氾濫だと判断、太陽系への軍事介入を決定し、地球は惑星ごとプラズマビームで消滅させられる。


(まあ・・・地球がジョカの増殖で核汚染でひどいことなるまで、軍事介入をしないのであればという但し書きがつくが・・・・俺が決定しなくても日本人の壊滅が見込まれた時点で監査局は軍を投入してジョカの駆除を兼ねて地球を処分するだろうな。)

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