第5話 アバーヌス遭遇戦
天の川銀河・旧シトラス領有星系アマルカンド恒星系・居住コロニー『アバーヌス』政庁舎三階会議室。
会議室の奥の机にうなだれるように一人の壮年男性が座っている。年齢のわりに髪が生えあがっているところをみるとストレスにさらされている人物だとわかる。前に立つ青年から報告を受けている様子だった。
「・・・それで、シリウス艦隊からの連絡は?」
「コロニーを接収するの一点張りです。」
壮年の男性はこのコロニーのコロニー長のデベント・バイエルンで、長年このコロニーの責任者を務め続けているベテランだ。
「シトラス本部のほうの様子は?」
「すでに銀河連合本国に制圧されているとのこと。仮に我々の側が勝利したとしてもシトラスの存続は難しいかと。」
デベントにしてみれば無理難題を押し付けてくるセツが捕まったのは正直胸がすく思いだったが、かといって今の立場にあるのもシトラス政府の委任があったからだ。
そこに立体ディスプレイがたちあがり若手のキャップ制帽をかぶった男性が映った。
『コロニー長、すぐにシリウス艦隊の入港を認めるようにと矢のような催促です!』
「・・・・・艦船の数が多いので、手続きに手間取っていると返答しろ!」
『しかし・・・』
「いれたら最後、武力接収されるだけだぞ!警備艦隊の出動準備は?」
『すでに完了しておりますが・・・・・・。いまの状況で味方どうし争うことに疑問が・・・。』
「やつらは敵だ!いいか、ここはシトラス領有の恒星系だ。そこになんの許可も得ずにシリウスの連中ははいってきやがったんだ。とにかく、時間を稼げ!いま恒星系司令部に応援を頼んでる。」
『わかりました。』
どかっとデベントは椅子の背もたれに体重を預ける。
「・・やれやれ。」
「このままでは戦闘になるのは確実ですね。」
「シリウスの連中には一歩も踏む込ませるなよ?」
「わかっております。宙賊国家の連中にこのコロニーを好きにはさせません。」
シリウス艦隊総旗艦フェーン・リール参謀室。
「ええい!いつまで待たせるつもりだ!!」
「・・・むこうからの返答ではしばらく手続きに手間取っていると。」
将官服を着た男性がどなりつけていたが、別の男性が首を振った。
「どうせ接収するのだから、強襲揚陸させて装甲兵を侵入させてみてはいかがですか?ここで補給地点を得るのは中央星系を攻略するには不可欠ですし、敵にあまり時間をあたえるべきではありません。」
「・・・・・強襲揚陸艦部隊の準備は?」
「すでに整っています。」
「陛下のご裁可は頂いている。作戦をαからβに変更し、十分後にβを実行する。」
正面には葉巻型のコロニーであるアバーヌスの姿が映っていた。
コロニー『アバーヌス』政庁舎会議室。
「コロニー長!!やつら強襲揚陸するつもりのようです!!」
「きたか・・・・・。戦闘を許可する。防衛長、三時間もたせろ!!三時間後に恒星系防衛艦隊が到着する!!」
『了解しました。』
デベントはふっと息を吐いた。
「今回の防衛はどうにかなるとして・・・・・問題はそのあとだな。シリウスの連中は旧式武器しかないからなんとかなるが・・・・。ほかの勢力が来た場合もたんな。」
部下の青年が真剣な顔をして口を開く。
「・・・いっそ銀河連合本国に救援を頼むというのはいかがですか?」
デベントは一瞬考え込んだ。
「・・・本国なぁ・・・・本国からすれば俺たちは叛徒だ。しかもコロニー運営は基本的に管理官資格者でないとできない制度だ。・・・・まあ、いまさら俺たちの立場を担保しようというのが烏滸がましいな。よし、その方向でいくか!」
デベントは決意を固めた表情をした。
アバーヌスに徐々にシリウスの強襲揚陸艦が近寄って行っていたが、次の瞬間、アバーヌスから砲撃が行われ、強襲揚陸艦のうち一隻が爆発する。
ほかの強襲揚陸艦がアバーヌスに加速して突入を開始するが、アバーヌスの反重力シールドにより突入ができない。
そこへ次々と砲撃が加えられ、強襲揚陸艦部隊は数を減らしていった。
シリウス総旗艦フェーン・リ-ル、国王のサロン。
「陛下、開戦のよしにございます。」
「そうか。無血開城はならなかったか。致し方あるまい。」
国王はふっと息を吐いた。
「・・・ハウリングアローを使うようイネクスに伝えよ。」
「ハウリングアローをですか?しかし、コロニーの機能が損なわれますが・・・・。」
「補給地点を作るための資材は持ち込んできている。無血開城できないのであればある程度の破壊は致し方あるまい。我々の勢力以外がこの領域に存在するのが問題だからコロニーを落とさせるにすぎんことを忘れるな。」
「御意。」
シリウス王国総旗艦フェーン・リール指令所。
「陛下より、アバーヌスへハウリングアローの使用命令が下った。これよりハウリングアローの各艦リンクを行う!!」
将官の命令によりシリウス王国艦隊の各艦の通信をレーザー通信によりネットワーク化が行われた。
そして、各艦の硬X線レーザー砲の着弾地点での位相をそろえて最大化するように演算が行われた。
着弾地点は宇宙港の入り口のある葉巻の両端の片側のシールド表面だ。そこはいま隔壁が下りていて、反重力シールドが張られ、艦船の侵入ができない状態になっていた。
演算結果によればシールドを破砕した場合、コロニーのシールド発生装置の一部が過負荷で破壊されるほか、硬X線の照射をうけた地点から三十キロくらいまで破壊がされる。内部構造物がかなり破壊されることになる。港は使い物にならなくなるだろうし、居住区もかなり破壊されるだけでなく放射線被ばくで住民にかなり被害が予想された。
「ハウリングアロー、照射開始!!」
将官の命令で百隻以上のシリウスの最新鋭戦艦から主砲が放たれた。照射は5分間ほど続いた。
そして、コロニーの半重力シールドが過負荷により消失した瞬間、コロニーの内部へと硬X線のビームが侵入していく。
中にいた作業員たちをふくめて一瞬で蒸発し、居住区の途中で照射がとまった。
「シールド破壊成功です。」
オペレーターの報告に将官はうなづくと、次の指示を下した。
「破孔より三番から五番の強襲揚陸艦隊を突入させよ!」
アバーヌス政庁舎。
「・・破孔より敵揚陸艦や揚陸艇が侵入を開始しました。」
「すぐに大隔壁の五番いこうを閉鎖させろ!!」
「しかし第六区画では救出作業が・・・・。」
「切り捨てるしかないだろう!!くそったれめ!」
デベントが机を叩いた。
「恒星系艦隊の救援はどうなっている?」
「あと12分ほどかかるようです。」
そこに会議室へ一人が走ってやってきた。
「アマテラス銀河連合本国から連絡が!!!」
そのばの人間すべてが走りこんできた青年をみた。
デベントが眉をしかめながら言った。
「・・それで、むこうさんは?」
「・・・5分後に到着するとのことです。」
「は?」
「ですから五分後に救援に到着するとのことです!!」
その場が湧いたように歓声があがった。
(やっこさん、前もって準備してたのか・・・・・それともまさかな・・・・。)
デベントは思考の海に沈みながら黙考していた。
『降伏せよ!しからざれば殲滅す!!』
シリウス総旗艦フェーン・リールの指揮所ではその通信が入ってきたとたん一瞬静かになった。
そこに軍装の国王の入来のなのりあげが行われ、司令席に国王が座った。
「・・・妙な通信が入ったようだが、やることは変わらん。我々が銀河連合を名乗る叛徒を討滅する。コロニーの制圧部隊をさげさせよ。すぐに艦隊戦のようのために所定宙域にいどうだ!」
「御意!!」
シリウス王国艦隊は球形陣を敷き、背後に恒星を置くように配置した。防御重視ではあるが、ほかの陣形へすぐに変化できるシリウス王国の基本陣形だ。
一方、現れたアマテラス銀河連合艦隊は方陣を斜めに五段つくった立体雁形陣を組んでいた。こちらはこちらでそれぞれの分艦隊の移動を重視した陣形だった。
アマテラス銀河連合・天の川中央銀河派遣艦隊旗艦アマノオサフネ指令所。
指令所の提督席に座っているライネール・イワン・ハズマット六等将は会議机のほうを向いて口を開いた。
「標的の一個がこんなところでのこのこ戦闘してたから介入したが、正直旧式コロニーを破壊されるとは思わなかったな。」
会議机に座る参謀たちが頷いた。
「まったくです。市民の命をなんだと考えているのか・・。」
「まあ、いまさらシリウス王国の連中の思考なぞ考えるだけむだかもな。」
「それで提督、いかがなされるんですか?」
「面倒だが、分艦隊の二つをコロニー側にまわしてコロニー側と現在位置で十字砲火を行わせる。むこうさんの主力武器は硬X線レーザービーム砲で、位相リンク砲撃が可能だ。こちらのシールドを抜けることは出力的に無理だが、小型艇の排出時などに着弾する可能性はある。シールドの扱いは慎重にしてくれ。艦隊運動計画は次の通りだ。」
艦隊運動としては半包囲をおこなわせるように移動してから一方をあけて十字砲火に移行する計画だった。
「総旗艦フェーン・リールを落とすのはしばらく削ってからだ。逃げるなら仕留めても構わんが、残っているうちは計画のタイミングまで仕留めるな。完全には不可能だが、できる限りここで奴らを殲滅する。」
「了解しました。」
参謀たちが各自の配置に戻っていたが、ひとりの女性参謀がにやけながら言った。
「ところで提督、イサの旦那にまた何か買わせたそうですね?」
ライネールは一瞬眉を動かした。
「どこでそれを聞いたんだか。」
「イサの旦那も趣味人ですね。監査官じゃなくて軍人になればいいのにと思いますが。」
「あいつは性格的に軍人向きじゃないな。組織に縛られるのに向いてない。むかし、軍人やってた時期もあったんだがな・・・・。どっちかというと行政官向きだな。軍人は状況に合わせて動くが、行政官は組織というパズルを組み立てて繊細な細工をすきなく作る作業だ。」
「・・なるほど。提督の同期は有名な方が多いですけど、イサの旦那はぱっとしない感じですよね。」
「あいつは有名になるのを嫌う。だから適性が監査官だったんだ。ま、今の仕事は監査官というより行政再生官だがな。」
「けっこう監査官でもそのへん分かれますよね?監査業務だけやって、あとは行政再生官に任せちゃう人とか。逆にイサの旦那みたいに監査のあとの再生業務が本業みたいなひとから。」
「引継ぎがめんどうなんだよな・・・・・特にあいつのいる強制監査査察って仕事はさ。事情がわかってないやつに引き継ぎ任せるとぽしゃる率が高いんだよ。だから今回も天の川銀河の状況が落ち着くまであいつが総責任者だな。」
「わかってない地方の行政局が文句いいませんか?それだと?」
「管理官の階級があるから文句はいえんよ。それでも策動する奴がいても法的に根拠がない。本来宇宙一個レベルの管理官を一銀河の責任者におくという意味がわからないやつなんぞいらんし。」
「そうですねぇ。」
「それにだ。今回はジョカの製造の問題がある。あれはなまじジョカの存在自体が人間で実質精神だけがロボット化されてるような生物兵器だからな。未開の文明の連中にはわかりづらい。調整を間違うと酷いことになる。」
「宇宙システムで制限をくわえれないんですか?」
「できんわけじゃないが・・この宇宙の状況だとかなりコストがかかる。安全領域を少しづつ増やして宇宙全体に広めるほうがコストが安い。だからこそここでシリウスの連中をつぶす必要がある。」
「はい。」
そういってライネールは正面を向いて階下の様子を眺めつつ、正面の大ディスプレイに目をやった。
砲撃は最初、シリウス側から行われたが、アマテラス銀河連合の側には被害はなかった。
銀河連合側は多少反撃しつつも艦隊運動を優先していた。天頂方向と天底方向、左右の方向にそれぞれ艦隊を動かし、さも半包囲陣形を組むかのように動いている。
地上の戦いと違い、完全包囲陣形は宇宙船の戦争においては悪手とされる。理由としては主砲の射程がながく、つきぬけて味方の艦に被害を及ぼしかねないからだ。
したがって常識的には半包囲あたりが包囲陣形の限界だった。
アマテラス銀河連合艦隊の本隊はシリウス王国艦隊の正面を維持しつつ、後背にいる宇宙母艦部隊から艦載機を発進させた。重力カタパルトで加速されながら次々と艦から艦載機が出撃していく。
艦載機部隊は艦隊間の隙間のあたりから迂回するようにシリウス艦隊に向かい、シリウス艦隊に猛然と超光速プラズマビームを浴びせかけた。
シリウス艦隊の外周部から中心へと爆発の渦が連なっていく。そして、総旗艦フェーン・リールの周りの護衛艦艇の動力部にあたる円盤の下面部分の突起を破壊するだけ破壊して離脱していく。
やり方はあるいみ汚いが、相手の足を止めて救出に時間をかけさせる小細工だった。それも総旗艦のまわりでそれを行い、総旗艦をとことん足止めさせるというライニールの計画だった。
総旗艦フェーン・リ-ル指令所。
「ええい!何をしている!!相手は小型艇ではないか!!近接信管プラズマ弾を使え!!」
将官が声を荒げてオペレーターに怒鳴っていた。
「・・は、はい。」
別のオペレーターが声を上げる。
「巡洋艦イルムント、テスサンド、メッサリーナ、ハウグストいずれも行動不能につき救援を求めています。駆逐艦α1からβ11までも同様に行動不能。総旗艦が孤立しつつあります。」
「・・これは・・」
国王が思わず声を出した。
次の瞬間、総旗艦が揺れた。
「第八区画に被弾!!現在火災が発生し、ダメージコントロール班が向かっています!核融合炉のうち三番が暴走!現在圧力解放を開始しました!!移動出力値40パーセントまで低下。」
国王が眼を鋭くした。
「・・・奴ら、朕らを最後まで逃がさないつもりか・・・。小癪な!!ラノッサ級強襲高速戦艦隊を正面にいどうさせよ。足を止められた艦は無事な装甲戦艦をつかって曳航する。目指すは正面、銀河連合艦隊総旗艦!!紡錘陣形をとり突破離脱を行う!!!」
アマテラス銀河連合・天の川銀河中央星系派遣艦隊・総旗艦アマノオサフネ・指令所。
ライネールが両手をくんでその上に顎を乗せつつふっと息を吐いた。
「気づいたか・・・・だが、もう遅い。陣形を変更、十字砲火をしつつ分艦隊AからCは敵艦隊側面に配置。敵艦隊の突撃面の本隊は陣形を厚くし、一隻も通すな。」
ライネールは側面からの攻撃に切り替えつつ、側面からの十字砲火でさらにシリウス王国艦隊をけずっていく。背後にまわった分艦隊ひとつはコロニーの守りにはいり、市民の救出作業を開始させた。
「やっこさん、そろそろ自分たちが不利な事理解したかな?」
そこに警告音が鳴る。
「大変です。天の川銀河連合艦隊を名乗る大艦隊がブラックホールα方面に出現。総数・・・・三十五万隻以上!!」
ライネールは舌打ちをした。
「作戦をDに変更する。艦載機を収容後、核融合レベル25でシリウス艦隊へ全力射撃を行なう!」
「了解しました。」
「しっかし、封鎖艦隊の連中どんなミスをやったんだ?こちらに35万隻以上とは・・・・国王の殺害が確定ではなくなったが・・・まあいい。ここで奴らに俺たちの実力をみせてやろう。」
「ぶっちゃけ、うちはほかに仕込んでる艦隊のほうが多いですしね。シリウスをつぶして、残る数としては1.5倍といったところですか?」
「・・・・ブラックホール消してやろうか・・・・。」
そのライニールの言葉に参謀の女性が慌てる。
「ちょっ!ブラックホールはこの銀河の主要な交通網をつくっているんですよ!ここ一個つぶしただけでも流通がかなり阻害されます!!」
「わかっているが・・・・・、ったくどうして作戦の最終局面でじゃまがはいるかな。」
シリウス王国総旗艦フェーン・リール。
「通商連合共和国を中心とした天の川同盟艦隊です!!我々の味方がたすけにきてくれました!!陛下!!」
「うむ。全艦このまま紡錘陣形にて離脱経路をとれ!!」
国王が命令を下した次の瞬間、あたりが閃光に包まれた。
シリウス王国総旗艦フェーン・リールは65年の歴史を終えようとしていた。楕円形の艦体の中央から閃光がはしり、そこにさらにつぎつぎと光線が突き刺さる。周りの艦艇もつぎつぎと爆発していく。
アマテラス銀河連合天の川銀河中央派遣艦隊・総旗艦アマノオサフネ・指令所。
オペレーターの若い女性の声が響いた。
「シリウス艦隊の約七割が完全消失。」
ライニールが命令をすぐに出した。
「砲撃を停止。忙しいが、止めに艦載機をだせ。徹底的に残敵を掃討するんだ。艦隊のほうは新手の艦隊に降伏勧告を送りつつ、艦隊を再編、外側に防御性能の高い防空装甲戦艦を配置、その背後にミサイル駆逐艦を配置しろ。ミサイル艦は今回遠慮なしで打ち込め。」
「提督・・・・コスト度返しですね。重力シールドありの超光速巡航ミサイルつかうとは。」
「あれだけの量を特殊砲弾ぬきで始末するとなったらミサイルで微調整かけるしかないだろ。星系事けすんなら放射性元素プラズマ核融合弾を一発撃てばすむがな。」
「暴れさせるなら・・・オートロボの剣番やキューブスラッシャーの使用を進言します。」
「・・そういえばそういうものもあったな。オサフネ、現在それらは使用可能局面か?」
女性のホログラムが立ち上がる。
『提督、使用は可能です。ミサイル射撃を中心とされるなら送り込んでも損耗率は15パーセント以下です。』
「ふむ・・・・・統括AIのおまえがそういうなら投入するか。」
『AIロボット母艦艦隊を正面に出します。』
「許可する。」
AIロボット母艦は流線形の細長い卵のような形をしていたがその表面に穴が開き、弾丸のようなものがつぎつぎものすごい速度で射出されていく。
剣番とは別名ソードダンサーと呼ばれる剣でできた虫のような様相の戦闘ロボットで、とかく頑丈で、レーザーやプラズマでもなかなか破壊できない陸戦ロボット兵器だ。主武装は半重力フィールドを足や手の役割をする部分にまとわせて、フィールドの出力で切り裂く、反重力カッターだ。
一方のキューブスラッシャーは名前とは裏腹に完全球形で浮き上がって射撃を行なう、球形ドローン兵器のような陸戦ロボット兵器だ。
ソードダンサーとキューブスラッシャーのペアで組ませて運用する場合が多く、ソードダンサーが隔壁破壊などを行い、キューブスラッシャーがその援護の射撃を行う形だ。基本的に使い捨ての兵器だが、メフィナス艦隊とよばれて天の川銀河で恐れられているアマテラス銀河連合の無人艦隊にも配備されており、容赦のなさからかなり悪名たかい。
基本的にこのAI兵器は艦船の側壁などを破壊して侵入し、中の構造物を破壊する。
天の川銀河諸国同盟艦隊総旗艦兼通商連合共和国総旗艦ライデンエール。
「すぐに揚陸艦から装甲陸戦兵を各艦へおくれ!」
アマテラス銀河連合側からの攻撃で同盟艦隊は混乱を極めていた。
提督席にすわるメリ・モリクソンは渋い顔をしていた。
「予想はしていたとはいえ、いきなりαベジターやγレードを投入されるとは・・・。」
参謀役の傭兵が肩をすくめた。
「今回は引くべきでしょう。幸いというか救出するはずだったシリウス王国艦隊が殲滅されましたから、これ以上この宙域に長居する必要せいはありません。とっとと行きましょう。」
「被害が深刻化するまに撤退するべきか。幸い艦隊がここにいるとなれば中心星系は手薄だろう。全艦艇急速離脱。すぐに重力トンネルへ入れ!」
アマテラス銀河連合・天の川銀河中央星系派遣艦隊・総旗艦アマノオサフネ・指令所。
これから攻撃をはかろうとしていたライニールのほうは憮然としていた。
頭の制帽をテーブルにたたきつける。
「くそったれ!!逃げられた!!」
「まあ、こういうときもありますよ、提督。」
こうしてアバーヌス遭遇戦は終了した。
一時間後、シリウス国王の死亡が確認され、ライニールは留飲をひとまず収めたが、それから二日不機嫌のままだった。
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