第3話 モモとフウカ

モモとフウカの友情の始点は中学2年生の頃だった。

2年連続で同じクラスだったけれど、二人には殆ど接点がなかった。


モモはその頃、クラスにも部活にもうまく馴染めず、いつも一人でいた。

自信が持てず、他人とどう接すれば良いかわからなくて、ドツボにはまっているような毎日だった。

同級生たちには、時々、意図的に存在を忘れられたり、くすくす笑われたりもした。

そんな毎日が味気なく、つまらなくて、少し辛かった。


フウカはフウカで、クラスのいざこざやトラブルには上手く関わらずに学校生活を楽しんでいた。

世の中にはその人の純粋さが滲み出ているがために、周りの人に大切にされ、本人が意図せずとも俗世の暗い面から守られるような人がいるが、この時のフウカは、まさにこのような立ち位置だった。

それでも、フウカもまたある意味では孤立していた。

皆が感じよく、仲良くしてくれるものの、フウカに対して一線を引いていた。

少なくとも、フウカはそう感じていた。

二人は学校でそれぞれ孤独だった。


そんな二人が、文化祭の準備で同じ班になったのは、偶然なのか、仕組まれたことだったのか。

買い出しなどを一緒にするうちに、孤独という共通項を持った二人は打ち解け、次第に休み時間やお昼を共にするようになった。

二人で一緒にいる時間は平穏で、楽しかった。

そしてどういうわけか、フウカは他の人には言えない秘密や悩みなども、モモに共有してくれるようになったのだった。

モモは、フウカよりは心を開くのに時間がかかった。

それでも、自分がもしここから消えたら、フウカは絶対に気づいてくれるだろうな、と確信を持てるくらいには、二人の関係に安心していた。そう思えたのはおそらく、家族以外で初めてだった。

フウカはモモの救世主だった。

こういう訳で、モモにとってフウカとの関係は、何よりも大切なものだった。

たとえ自分の中に初めて芽生えた感情をなかったものにしてでも、守りたいものだった。

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