???
「……あぁ」
ヨザキは、だだっ広い部屋の中で目を覚ました。
自分が腰掛けているのは玉座にも似た椅子。
誰もいない広い部屋。
_____そうだ、謁見の間だ。
彼は思い出した。
ジャックが死んだ。
その連絡を受け、暫く考え事をしているうちに眠ってしまったのだったか。
彼は眉間を手で押さえる。
「……そうだ…」
そうだ、ジャックも死んだのか。
______それは、ずっと恐れていたことだった。
俺がジャック_____津久野時也を勧誘した日。
あの日、もっと俺が早く行っていたならば、彼は狂い死ぬことはなかっただろう。
もっと早く俺が行って……父親が自殺する前に俺が殺していれば。
津久野時也は俺を恨むだろう。
だけど、少なくとも……少なくとも、死ぬことはなかった。
彼の父親が死んだ日。
あの日、津久野時也は狂ってしまったのだ。
俺が彼の父親の死の真相を伝えなくとも、きっと彼は_______
「…じゃあ、どうするのが正解だったんだ」
一人で、彼は繰り返す。
「どうするのが……彼を救う道だったんだ」
……分からない。
「俺には、誰も救えないのか?」
俺は「救済の暁」の教祖。
誰もを救うための、存在。
……なぁ。
俺は呼びかける。
「教えてくれよ……
広い部屋の壁に、その呟きは消えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます