???



「……あぁ」


ヨザキは、だだっ広い部屋の中で目を覚ました。


自分が腰掛けているのは玉座にも似た椅子。

誰もいない広い部屋。


_____そうだ、謁見の間だ。


彼は思い出した。


ジャックが死んだ。


その連絡を受け、暫く考え事をしているうちに眠ってしまったのだったか。


彼は眉間を手で押さえる。


「……そうだ…」


そうだ、ジャック死んだのか。


______それは、ずっと恐れていたことだった。


俺がジャック_____津久野時也を勧誘した日。

あの日、もっと俺が早く行っていたならば、彼は狂い死ぬことはなかっただろう。


もっと早く俺が行って……父親が自殺する前に俺が殺していれば。


津久野時也は俺を恨むだろう。

だけど、少なくとも……少なくとも、死ぬことはなかった。


彼の父親が死んだ日。

あの日、津久野時也は狂ってしまったのだ。


俺が彼の父親の死の真相を伝えなくとも、きっと彼は_______


「…じゃあ、どうするのが正解だったんだ」


一人で、彼は繰り返す。


「どうするのが……彼を救う道だったんだ」


……分からない。


「俺には、誰も救えないのか?」


俺は「救済の暁」の教祖。

誰もを救うための、存在。


……なぁ。


俺は呼びかける。


「教えてくれよ…… お姉ちゃんアサギ……」


広い部屋の壁に、その呟きは消えた。


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