第33話 こらそこ、曲解しない
「ランジェリー……ショップ?」
店の入口に立っている宣伝看板に、チョークで可愛らしくそう書いてあった。周りは色んな動物とか花とかの絵が書いており、ほわわーんといった雰囲気を出していた。
ランジェリーショップ、と心の中で
「………」
スっと視線を店の外に向ける。花園が見えた気がする。俺はペシペシと頬を叩き、自分の意識を現実に戻そうとする。そして再びちらり。
「……Wow……」
ししししししし下着!?女性ものの下着!?そゆこと!?ランジェリーショップってそゆこと!?え、え!?
……つまり、2人がここに入っていったということは、下着を買うためだったのか。
「見なかったことにしよう。うん」
俺がここにいては万が一でも誤解されるかもしれない。叶に限ってそんなことは無いだろうが、もしかしたらがあるからだ。それに、ここはいわゆるプライベートゾーン。白川さんはもちろんのこと、叶も義兄妹とはいえ血は繋がっていないのだから、こんなことをされては嫌だろう。
俺は回れ右をして、その場を後にしようとする。
「あれ?律じゃん」
「げっ……いろは」
俺と同じく学生服姿のいろはと隣にはいろはの彼女である美咲に遭遇してしまった。なんでこんなタイミングでいつも遭遇するのかな?また後をつけられてたってことは無いよな……?
「なんだよ『げっ』って。失礼だな」
「あ、いやぁ……まぁ……いろははデートか」
「帰り際にそう言ったろ?」
何言ってるんだ今更みたいな目で俺を見るいろは。対して美咲はと言うと目をパチパチとしたあと、何かを察したような表情を浮かべる。
「ふーん……へぇー……ほぉ~?」
「なんだその意味深な笑みは」
まさか……バレたのか?俺が、叶にちょっとだけだけどついてきて、そしてランジェリーショップに入っていったところを見て即座に回れ右をしようとしていたことが!?
だとしたらやばい、やばいわ。美咲さんなら有り得る。察しちゃうかも。
「律くん、やらしぃね」
「な、なにが?」
「叶ちゃんに下着を買わせて、そしてあーんなことや、こーんなことをしようとしてるんだ?」
うん、普通に違ったわ。心配して損したわ。
「そして叶ちゃんを完全に我がものにして、そして次はクラスの女の子たちを次々と手駒にしてくつもりなんだ?」
「発想ぶっ飛びすぎだろ。想像の斜め上すぎてビビってるんだけど」
「まじか律……お前……。くっ、失望したよ」
悲しそうに目を閉じて顔をうつむけるいろは。
「お前まで悪ノリするな」
「そうだよ律くん、失望だよ失望」
「にやにやしながら言うことじゃねえ」
こいつらめんどくせぇ……と思いながら俺はため息をついたのだった。
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