第28話 再び、来ちゃった
「なんでここにいるんだよぉぉおおおお!!!!!!????」
俺は驚き、叶は犬のごとくウーウー唸って威嚇している。
「来ちゃった♪」
「『来ちゃった♪』じゃねえっ!もうここまで来るとストーカーだぞ!?」
「君の親公認のストーカーだもん!しかも、話したら私の事覚えててくれててさ、手料理を毎晩振る舞いたいって言ったら『それはありがたい。律にも負担をかけすぎてるからな』って言ってくれたよ?」
「なんだよそれ!?」
しかし待てよ、毎晩白川さんの料理を食べる……つまり毎日あの漢方を食べないといけないということか?それはごめんである。もう死にたくないもの。ていうか、お父さんさりげなく俺と叶と白川さんの3人でご飯食べて来いって言ってたんじゃ?どうやらお父さんは小さい頃の白川さんを知っているようだし、料理下手なのも知っていたのかも。
「今作ってる料理によっては即刻この家から追い出す。今作ってる料理がセーフでもご飯食べたら追い出す。律、それでいい?」
小声で俺にそう伝えてきた。俺は首肯し、さっそく行動に移る。
「……今は、何を作ってるんだ?」
「えっとね。オムライス」
「オムライスとな」
フライパンの中身を見てみると、見た目至って普通なオムライスが料理されていた。いや待て油断するなよ高山律。先日はこれで痛い目を見たのだ。
「そろそろできるから、座って待っててね!」
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「どうぞ召し上がれ……!」
そう言って食卓の上に置かれたオムライスは、前と同じように見た目は美味しそうだった。あくまで見た目の話である。……あれ、匂いも意外と悪くない。
「律、先に食べてどうぞ」
そう言って微笑みを向ける叶。私まさかの毒味係ですか?
「まぁ、倒れたらその時は責任取れよ?」
「え?」
どういうこと、という前に俺はオムライスを口に放り込んだ。咀嚼。……もぐもぐ。
そこで俺の意識は途切れた。
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「うーん」
ゆっくりと、意識が覚醒していく。目を開けると、視界には自分の知っている天井が広がっていた。自分の部屋だった。(やっぱりぶっ倒れたか)と思いながらふと横を見ると、義妹が椅子に座って俺のお腹の辺りですぅすぅ寝息を立てていた。ベッドに運んでくれた後、心配でずっとそばにいたのだろうか。
今、体を動かしては彼女を起こしてしまいそうなので、俺は仕方なく枕を立てて、それを背もたれにして寄りかかる。
なんだろ、この状況。別に病気になってないのにいかにも病気になりました感。なんかやるせない。
「まぁ、毒味して正解だったな」
あれを叶が食べていたらまた2人でぶっ倒れていたところだ。もうあの料理を食べることは無いだろう。
俺がそっと叶の頭を撫でると、「んぅ……」となんとも言えない声で応答した。
「さて、明日から学校か……」
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