第22話 胸の話になると義妹は機嫌が悪くなるようです
「ほら、写真見て思い出して!」
結局、白川さんは家に上がって、俺が寝泊まりしてる部屋にてスマホの写真をグイグイと俺に見せつけてくる。
写真には、そこにある河原で目線だけこっちに向けている俺とピースサインをしている白川さんが映っていた。
「思い出した、思い出したから離れてくれない?」
叶から俺と白川さんに向けられる殺気がすごいんだ。頼むから離れてくれ。このままだと視線で殺されちゃう。
「ほんとに思い出したの?なんか目が怪しいけど……」
「近い近い近い、距離感考えて?一応あなたアイドルでしょ?」
「確かに今は撮影でたまたまこっちに来てるだけだけど……ほら、それとこれとは違うでしょ?」
「どれだよ」
俺はそう突っ込んでから何とか距離を取った。さすがアイドル、近くで見ると確かに美人である。生アイドル、すごい。ていうかこの状況いろはに話したら殺されるだろうな。
「し、白川さん……!」
俺がちょっとだけ感心していると、叶がちょっと強い口調で彼女に話しかけた。
「なぁに?」
「不用意に近づきすぎないで。近づいていいのは律の彼女の私だけ、だから」
「………かのじょ?」
ピシリ、と白川さんの動きが固まる。
「か、か、かのじょ?えーと、叶さんだっけ……?ど、どういうことかな……?」
待って、叶これ思いっきり地雷踏み抜いた感するんだが。
「そのままの意味。私と律は、恋人同士」
ドヤ顔で今それを言わないでぇぇぇっ!?
「りっちゃん……これはどういうことかな?教えて……欲しいな?♡」
待って待って、なんで白川さんそんなに怒ってるんだ!?確かに幼なじみ(昔仲の良かった異性の幼なじみ)に恋人(仮)ができたらびっくりするだろうけど……怒るか!?普通!?
「何がなんだか分からないって顔だね?ふーん、忘れたんだ?私との約束」
「や、約束……?」
「まだ小さい頃、りっくん私に告白したんだよ?『ぼくとけっこんしてください!』ってね。私『はい喜んで!』って返事したもん」
その言葉に今度は叶がピシリ、とフリーズする。
「律……?」
「いや待て待て待てそんなの知らないんだけど!?記憶を勝手に捏造しないでくれないかなぁ!?それに告白じゃなくてもはやプロポーズだし!?」
しかもそれだと俺が小さい頃幼なじみ(現アイドル)にプロポーズして、OK貰ったのにも関わらず今度は叶(義妹)を彼女にしている正真正銘ゲスクソ野郎じゃないか!もしこれが本当だったとしたら普通に街中で背中刺される案件だぞ(特に白柳ファンに)!
「そ、それでも律は今私の彼氏!昔の話は関係ないと思う!」
「へえ……言うねえ。じゃあはっきりさせようよ。私と叶さん、どちらが律の彼氏に相応しいか……本当は譲りたくないけど、正々堂々勝負しなきゃね」
そう言って少し意味深な笑みを浮かべる白川さん。
「望む……ところ!」
こうして、俺の意見関係なしに「どちらが律の彼女に相応しいか対決」が始まったのだった。
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