第13話 どうやらセーフのようでした
「ムニクロ……律、何か買うの?」
「まぁ夏も近いし……叶は服、なにか欲しくないか?」
俺がそう言うと、叶はしばらく考えるような素振りを見せた後に「欲しい」と頷いた。
少しばかり嬉しそうな気がする。その証拠として、俺の手を握る力が少しだけ強くなった。
「律が選んでくれるの?」
「ああ。叶に似合いそうな服を頑張って考えてみるよ」
そう言うと、叶は「嬉しい。ありがとう」と言った。表情は角度的に隠れてしまい見えなかったが、おそらく笑みを浮かべているのだろう。声のトーンで分かる。
「じゃあ、入ろうか」
「うん」
こうして俺と叶は店に足を踏み入れたのだった。
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「頑張って考えてみるよ」とは言ったものの……。
「女の子の服って……どうやって選んだらいいんだ」
全く分からず、うーんと唸っていた。ここはやはり店員に聞くべきだろうか。いや、でも自分で選ぶと言ったからには……いや、でもなぁ……。
「私は……律が選んだものならなんでも嬉しいよ?」
隣に立つ叶はそんな優しいことを言ってくれた。だが、その言い方をされるとちょっと不安なニュアンスが含まれていそうな気がして少しばかり落ち込んでしまうが。
まぁ、とにかく落ち着いて考えてみよう。
律のイメージに合ったものを選べばいいんだ。
「これなんか、どうだろう?」
俺が手に取ったのは、夏用に作られた薄手の白色のパーカーだった。
やっぱり叶には白色がいつも似合っているし、パーカーなら無難な選択肢な気がする。無理に背伸びして変なものを買うよりかは断然いいだろう。
叶は俺からパーカーを受け取ると、「試着、できるかな」と聞いてきた。
いいんじゃないか?、と答えるとレジにいる店員の元まで小走りで向かった。そして少しやり取りした後、そのまま試着室に入っていった。
俺は叶が入っていった試着室の前のひとりがけの椅子に座り、待機。すると、1件の通知が入る。
『良い選択肢だ』
………馬鹿にしてるのか、あいつ。俺にだってそのくらいできる。
しかも今は記憶がないとはいえ、小学生の頃から叶とひとつ屋根の下で過ごしたのだ。叶に似合う服くらいは理解してるつもりである。
と、シャッと試着室のカーテンが開き恐る恐るといった様子で叶が出てきた。
「どう……?」
そう言って軽く両手を横に広げて服を見せてきた。
率直に言えば、可愛い。ものすごく可愛い。パーカーの袖が叶の腕より長いため、少し垂れている感じもまた良い。こういうのなんて言うんだっけ……萌え袖って言うんだっけか。実際に見ると破壊力が違う。
しばらく見とれていると、叶は「…似合ってないの?」不安そうな表情で俺を見つめてくる。
「そんなことないよ。すごい可愛いと思う」
なんだか自画自賛みたいになって小恥ずかしいが、叶はその言葉を聞くと嬉しそうに顔を赤らめた。
「じゃあさ、次は……私が選んでいい?」
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叶が可愛いと思う人は★または感想をぶん投げくれると嬉しいです
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