第12話 映画デート、続行決定!
「はい、あげる」
そう言ってソフトクリームをこちらに向ける叶。食べて欲しい、という目をしている。
「あ、うん。ありがとう」
パクッとソフトクリームを食べると、冷たいバニラの味が口の中に溶けて広がっていく。
俺はもはや心を無にしていた。叶と間接キスをしても、動じない。アーンされても、動じない。すごい、これが悟りの道か……。(※違います)
結局あの2人は姿を消してしまった。ほんとに逃げ足が早い。まぁ、なんやかんや言ってあの2人は良い奴だから、悪気はないんだろうけど……。
「………つ。……律?」
「ん?」
いかんいかん、またぼーっとしてたか。
叶はこちらを見上げてる。いや、でも目線はなんか俺の目を向いていないような?
「頬に、ソフトクリームついてる」
あ、そういうことか。
「ああ、ありがとう」
そう言って右手で拭おうとすると、パシッと
その手を掴まれる。
「私が、取る」
「へ?」
そう言うと背伸びをしてきて……
ペロリ
舐め取られた。
「////!?!?!?!?」
俺は驚きのあまり声を失う。悟りの道は一瞬で崩れ落ちたのであった。
「えへへ、美味しい♡」
「美味しい♡」じゃないわ……。
もうこの子、どこでも構わず甘甘になっちゃってるよ?
「///叶」
「なに?」
「///ここ、外」
「………///あっ」
いやその反応……かわいいかよ。
ソフトクリームを食べ終わった俺たちは、適当にぶらついていた。
「叶、どこか行きたいところとかあるか?」
「私は大丈夫。律は?」
俺もないな、そう言おうとしたが。
ピコン、とスマホに通知が入る。見てみると、いろはからメッセージが。
『まさか、ここで帰るとか言わないよな?』
「…………」
怖。どこで見てるんだよあいつら。俺は辺りを見回すもそれらしき姿は見当たらない。
しかも図星突いてくるなし……。
どこに行けば良いのかと咄嗟に視線を巡らせると、ムニクロが目についた。
「じゃあ、ムニクロに行かないか?」
「……服、買うの?」
興味深そうに俺を見つめる叶。ここは1つ、「義兄」として、そして「彼氏」として叶に似合う服を選んであげよう。
────────────────────
一方その頃。いろはと美咲はというと。
(ちょちょちょ、ム、ムニクロ!?想定外なんだけど!)
(確かに、普通の彼氏ならあれはOKだけど……律君はやばい……!!)
滅茶苦茶慌てていた。
理由は……律の壮絶な過去にあったのだった……。
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叶が可愛いと思う人は★または感想をぶん投げくれると嬉しいです
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