第9.5話 数日前のお話
えー、
実はつい昨日の夜、叶ちゃんからメールで相談を受けた。その相談内容としては「律くんと一緒に出掛けたい」といったもの。
いや、もう即返信したよ!
『よし、明日私のおうちにおいで!』
そして、叶ちゃんは翌日の昼に私のお家にお邪魔してきたのである。
そして今。
「それで、律くんをデートに誘いたいんだって?」
「うん、律をデートに誘いたい。美咲さんは、どうしたらいいと思う?」
もうそりゃ誘うべきだよ!ガンガン誘っちゃえ!そしてイチャイチャしてくれ!この日が来るのをずっと待ち望んでたんだから私は!(あといっくんも!)
まぁでもそんな熱烈に語られても叶ちゃん驚いちゃうだけだから、冷静に話さないとね。
うんうん、落ち着け私。
「コホン。当然、誘うべきだと思うよ。だって叶ちゃんは律のこと大好きだもんね?」
「うん」
すごい、素直に認めた!ピュアだ!
ツンデレの律くんとは大違いだねぇ……。
「じゃあ、まずデート先から決めちゃおうか。ズバリ、初デートにもってこいの場所は……!」
「……ゆ、遊園地?」
「違うよっ!?」
「!?」
思わず前のめりになって否定してしまい、叶ちゃんは驚きの表情になってしまった。
「あっと……ごめんごめん、驚かせちゃった。……良い?遊園地っていうのは付き合いたてのカップルが行くとどうなると思う?」
「……どうなるの?」
叶ちゃんはゴクリ、と生唾を飲み込む。
「待ち時間に会話が続かなくて……気まずくなっちゃう」
「!?」
叶ちゃんは驚きの表情を浮かべる。そして、しばらくした後「確かに……そうかも」と納得してくれたようだ。
「だけど、会話しなくてもお互い楽しめる場所があるんだよ。それは……」
「それは……?」
私は十分な間を取ってから、ビシッと指を指す。
「映画館だっ!」
「!!確かに……!」
そう、映画館なら会話せずともお互い映画を見て楽しめる。会話といえば映画が始まる前の雑談、そして後の感想会だけ。つまり……付き合いたてのカップルにとってはまさに夢のような場所!
「実はこの前商店街の福引で映画のチケットをちょうど2枚分貰ったんだよ。本当はいっくんと一緒に行こうかと思ってたけど……譲ってあげるから、行っておいで?」
「え……」
さすがの叶ちゃんも困惑の表情を浮かべる。確かに気後れしてしまう気持ちはわかる。
「叶ちゃんの付き合い記念ってことで受け取ってよ。私はいっくんとはいつでも行けるからさ」
しばらくは戸惑っていた様子だったけど、私が「良いよ行ってきなよ」と押しに押した結果「わかった……ありがとう」と頷いてくれた。
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その後、叶ちゃんに服装とか、時間の使い方など色々とアドバイスした。
「今日は、色々とありがとう」
「ううん、いいよ別に!頑張って律くんをデレさせてね!」
「うん」
叶ちゃんはコクリ、と頷くと軽く会釈してから帰って行った。
「さて、いっくんに連絡連絡……と」
私はいっくんのトーク画面を開く。
『ねぇねぇ、今週末空いてる?』
するとすぐ返信がきた。
『空いてるけど、どうしたの?』
『初デート偵察任務を……実行します!』
■■■■■■
「美咲の入れ知恵だったのか……」と思ったら★または感想などをぶん投げくれると嬉しいです。
あと、付き合いたてのカップルが映画館デートに行くのが良いというのは個人的な感想ですので、お気になさらず!(本当かは分からないからね!?)
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