第9話 義妹なのにまるで恋人である。いや、恋人か。
映画館に着いた俺と叶は、ポップコーンを買うために売店に並んでいた。
「ねえ、律」
「うん?」
「あれ、食べたい」
そう言って叶は期間限定のポップコーンを指さした。
確かに、でかでかと広告が張り出されている程なので人気な味なんだろう。
「叶はあれにするのか……まあ、でも俺はいつもの塩味でいいかな」
もし買って自分の好みじゃなかったら嫌だし、俺はあんまりこういう期間限定系のもの食べないしな。
だが、叶は違うとでも言うように首を横に振った。
「一緒に、食べたい。……ダメ?」
「////あー、そういうことデスカ」
あーもういちいち上目遣いでお願いしないでくれます!?可愛いから!あざといから!!
何とか「義兄」モードで乗り切ろうと思っていたが、すぐにその作戦は叶の可愛さにぶち壊されたのだった。
結局叶とひとつのものを食べることにした俺は、ポップコーンを買い、飲み物を買った(飲み物まで一緒に飲もうと言われた時はさすがに恥ずかしすぎたので断ったが)。
その後、俺たちは入場ゲートまで来て、映画のチケットを係員に渡そうとすると……。
係員の顔に見覚えがあった。いや見覚えどころじゃない。普通に見たことあるわ。
「あれ、律君?」
そう。まさかの係員が、赤田美咲だったのである。
「美咲さん!?……今日、バイトの日だったのか」
そうだ、思い出した。美咲さんはこの映画館でバイトしているんだった……。完全にやらかした。
「そして隣にいるのは……叶ちゃん?………ほほう??」
全てを察した風に、ニマニマと俺たちを交互に見た。
「おアツいですねぇ……」
「別に、叶が来たいって言うから連れてきただけだ」
早くこの場を去りたい。その一心で俺は言葉を並べる。
「律く~ん、ツンデレるなよぉ……本当は一緒に行きたかったんでしょ?」
「………違う」
「顔が赤くなってるところからして、図星だね」
さらにニマニマが加速する美咲さん。
「予定通りで何よりだよ」
さり気なーく美咲さんが、ボソッと叶に何か言ったのを俺は内容は聞き取れなかったものの、見逃しはしなかった。
「……おい?今なんて言った?」
「な、なんでもないよ~!?じゃあ、楽しんで来てね~!!」
半券を無理やり持たされ、かなり強めにグイグイと背中を押される。待って、さっき聞き逃しちゃいけないことを聞き逃した気がするんだが!?
「じゃ、叶ちゃんも楽しんできてね!」
「うん」
そして謎のアイコンタクトを交わす叶と美咲。
この2人……一体何を企んでいるんだ……?
■■■■■■
叶にもっと甘甘して欲しいと思ったら★または感想などをぶん投げくれると嬉しいです
□□□□□□
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます