第7話 初めてのデート(?)

「お、お待たせ、律」


玄関前で待っていると、恐る恐ると言った感じで家から出てくる叶。


今日は春だが、他の日とは比べて暖かく、過ごしやすい日だった。そのためか少し軽めの印象の白色のワンピースを来ていた。


「どう、似合う?」


「うん、似合ってると思う………可愛いと思うぞ?」


かなり似合っている。いや、まじでもう、妖精なんじゃないかってレベルで可愛いし、綺麗だ。今までの俺は「義兄」として「義妹」の叶と出かけることはあったので対して気にはしていなかったが、改めて見ると……なんかこう……凄かった。


今の俺は「彼氏」として「彼女」の叶と出かけるのだ。それを意識し始めたせいだろうか、少し緊張してくる。


「///……ありがとう。律も、その……カッコイイよ?」


照れ混じりにそんなことを言ってくるので、お互いに変な空気になってしまう。


「じゃ、じゃあ。行こうか?」


「うん」


叶はコクリ、と頷くと俺の隣を歩き始めた。


「?」


なんだか視線を感じて、後ろを振り向く。

が、当然そこには誰もいなかった。


「どうしたの?」


「いや、なんでもない……と思いたいけど」


────────────────────


バス停に着くと、思ったより人が並んでいた。


「結構人がいるな」


まぁ、今日は休日だし、みんな考えることは同じってことか。


「………」


「叶、さっきから無言だけどどうした?」


そう言って声をかけるとキュッと袖を握ってきた。


「人、多い……」


「あ、なるほど」


叶は昔から少し人が多いところは苦手なのだ。なんでも、小さな頃に人混みで迷子になったことがあるらしく、それがトラウマになっているそう。


「……手」


「?」


小さい声でよく聞こえなかったので、もう一度聞こうとした。が、その前に。


キュッ


「……!」


手を、握りしめられていた。

その手は少しでも強く握ったら壊れてしまいそうなほど柔らかくて、温かかった。


「……これで、大丈夫か?」


俺もその手を優しく握り返す。叶は顔を少し赤くして、小さく頷いた。


(案外この関係も……悪く、ないかもな)


って、何考えてるんだ俺は。いくら「彼氏」と「彼女」の関係でも、これはひとつの冗談から始まったにすぎないものなんだ。

そんなことを考えては、ダメなのだ。


俺は雑念を振り払い、このようなことは考えないようにしよう、と決めたのだった。





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叶が可愛いと思う人は★または感想をぶん投げくれると嬉しいです

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