第3話 義妹のデレ(?)が破壊力高いんだが
「はぁ……疲れた」
俺は今朝の件のこともあり、教室でぐったりしていた。全く、一体どうして叶はあんなに積極的だったのだろう。どう考えても冗談だとわかるはずなのに、それも踏まえてあんな行動を取っていたのだろうか?
分からなすぎて俺はグヌヌ……と唸る。
「どうしたのさ、そんな怖い顔して」
前の席の男子 ── 藤咲いろは が俺に話しかけてくる。
こいつは俺の唯一の友達であり、昔からの親友である。そして今朝メッセージを送ってきた張本人。
そう、つまりこいつには彼女がいるのだ。なんかいつもイチャイチャしてるので蹴っ飛ばしてやりたい気持ちで山々なのだが。
「いや、今朝から面倒なことになってだな」
「だとしてもそんな暗い表情をするんじゃないぞ?なぜなら活動開始からずっと推し続けてきた
「はいはいすごいすごい」
オタクを発動させ熱弁し始めるいろはに俺は深いため息をつく。こいつ、彼女いるのにアイドル熱愛しててよく刺されないよな。
「その様子だと結構深刻なご様子?」
「あまりここでは話しずらい。けど、放課後になったらわかる」
「ということは、放課後までお預けですかい?」
「その通りでございます」
俺はいろはのノリに適当に合わせて答え、授業の準備を始めた。
────────────────────
そして放課後。
「なるほど、これが今朝の件だと?」
「ああ」
俺の右隣にはいろは。そして左隣にギューっと俺にくっつく叶。
「え、何があったんお前ら」
いろはは俺と叶を交互に見ている。彼は叶が俺の義妹だということを知っている(あと、いろはの彼女も)が、それも踏まえこの反応である。まぁ、驚かない方がすごいが。
「実は……」
俺は叶に聞こえないボリュームでいろはにわけを説明した。初めはほうほう、と聞いていたいろはだが、最後の方は「………」ともはや何も言えない様子だった。おそらく心情としては「???」だろう。
「何を二人で話してるの」
いろはとヒソヒソと話していることに対して、ムッとしながら俺を見上げる叶。
「いや、その」
俺が回答に戸惑っていると
「叶ちゃんって律のこと好き?」
「はぁぁぁっ!?」
いろは、こいつ爆弾投下してきやがった!?待て待て待て、いくら今のデレ叶とはいえ急にそんな……
「もちろん、世界で一番大好き。私は律の彼女で幸せ」
「////んなぁぁぁぁぁっ!!??」
近距離で満面の笑みでそう言う叶を見て心拍数が爆速上昇。
「これは罪ですな」
ニヤニヤしながら俺を見るいろは。
「普通信じるかっ!?……いや、信じないよな!?」
「でも、現にこう言ってるわけだしなぁ……」
「?」
何が何だか分からない、とでも言うようにコテン、と首を傾げる叶。この純粋な表情……確かになんだか罪悪感が湧いてきた。
「……でもさ。この様子……本当に記憶失っているように見えるのは気のせいかな」
しかし、いろはは先程の明るい声とは一変、少し真面目な声でそう言った。確かに、いくら演技とはいえここまでできるとは思わないけど……。
「考えすぎじゃないか?多分、明日になったらまた元通りになってるよ」
「ま、そうだよな。普通に考えてそんなことはないよな」
悪い悪い、といろははヘラヘラ笑いながら「じゃあ、俺こっちだから」と家に帰っていった。
「本当に記憶を失っているとしたら、か」
明日になれば分かるだろうか……?今日だけっていう可能性もあるし、なんなら部屋に戻った瞬間恥ずかしすぎて身悶えしまくったりとか……。
「どうしたの?」
そんな様子の俺を見て心配そうに顔をのぞきこんでくる叶。
「いや、なんでもないよ」
まぁ、とにかく明日になったらわかるだろう。そんな淡い希望を抱きながら帰路に着いた。
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