第2話/お仕置きされちゃう♡的な
なんとか一人の時間を作ることができ、のんびりしているうちに夜になり、夜ご飯で普通に美味しい焼きそばを作ってくれてたし、それは良かったんだけど、問題は風呂だ。
既に俺の着替えとタオルを持って風呂の前で待機してるし、そんな状況で風呂に行くなんて、なんか嫌だ。
「ご主人様、お風呂が冷えてしまいます」
「先に入っていいぞ」
「一番風呂はご主人様に相応しいです。それに私は、ご主人様の体を洗ってから一緒に湯船に浸からせていただきます」
「だから嫌なんだよ! あ、そうだ、風呂上がりに食べるアイス買ってきてくれるか?」
「はい、もちろんです」
「帰って来るまで待ってるから安心しろ」
「分かりました。行って参ります」
よし、出ていった!今のうちに風呂だ!!
ついでに玄関の鍵を閉めてやった。これでのんびり風呂に入れる!
久しぶりにも感じる程の開放感を感じながら、素早く体と頭を洗って、さっそく湯船に浸かった。
「ふぅー、極楽だー」
「ご主人様」
「わぁー!!!!」
「危なかったです。もう少しでこのまま湯船に入ってしまうところでした」
湯船の淵に脚を開いて立ち、俺は
「な、なんで窓から?」
「お財布と鍵を忘れて戻ってきたら、玄関に鍵がかかっておりましたので。それより、約束を破るなんて酷いではありませんか」
「そ、それは‥‥‥それより‥‥‥パンツ‥‥‥」 「そ、それでは、改めてアイスを買って参ります」
えっ、今、絶対恥ずかしがったよね。それでよく肉体関係持とうとしたな。
美人でカッコいい系の美少女さんが恥ずかしがる表情、なかなかに良いな。
「あっ‥‥‥」
見られた‥‥‥絶対に見られた‥‥‥鳴海《なるみ
》にも見られたことないのに!!って、俺は振られたのに何考えてんだ!!
「あぁー!!!!」
「どうなさいました?」
「来るな!!」
それからしばらくして俺は風呂を出て、素早く階段を駆け上がって部屋の鍵を閉め、
だって、大事な所見られた後で顔合わせるの気まずいんだもん!!
「ご主人様」
「なぁー!?!?!?!? なに扉ぶっ壊してんの!?」
「私は
「なにから守るんだよ!! お前から守ってくれる番犬の方がほしいよ!!」
「銃を持った者が侵入してくるかもしれません」
「ここは日本だ!! そんなこと起きねぇよ!!」
「それは失礼いたしました。アイスは冷凍庫に入れてあります。腕をお貸しいたしますので、ごゆっくりお眠りください」
「ベッドに入るな!! こんな過激派なメイドがいてたまるか!」
「それより、学校でのキャラ設定はまとまりましたか?」
「とりあえず、ベッドから出てくれる?」
「はい」
「俺の友達で、性格はギャルでいこう」
「オッケー!」
「う、うん。そんな感じ」
基本シャキッとしたクールな表情なのに、表情筋の振り幅が凄いな。
とにかく明日から、しっかり頼むぞ‥‥‥。
「マジ、私ならイケるっしょ!」
うん、めちゃくちゃ不安だ。
※
あれから、
※
翌朝目を覚ますと、
「おはようございます」
「理由は分かるんだけどさ、いまだになんで俺の家に居るのか聞きたくなるわ」
「ご説明いたします。私は幼い頃」
「昨日聞いたわ!」
「寝起き良いんですね」
「今までと違う環境で、寝起きからボケッとしてられるか」
「まだお時間に余裕がありますので、二度寝してください」
「なんでだよ」
「寝起きで気持ちいい状況を作り出します」
「そのつもりなら、なんで正座なんかしてたんだか。パンツ見られて頬赤らめる奴が、そういうことできないことぐらい分かってるっての」
そう言うと、
「悔しそうな顔。てか、メイドがそんな態度で良いのかよ」
「も、申し訳ありません」
「自分大切にしろよ。俺も自分大切にしたいし」
「私は
「好きでもない相手に?」
「それでもです。私を好きなようにお使いください」
「まぁ、俺が三十歳まで独身で、妖精さんになったら考えるわ」
「失礼ですが、人は妖精にはなりません」
「‥‥‥ご飯食べるわ」
「今日の朝ごはんは昨日とは違うお魚です。お刺身にして私の体に盛り付けるか悩みましたが、盛り付けてくれる人がいないので諦めました」
「そんなもん食えるか!!」
「なら、私を食べてください♡」
「朝から下ネタは胸焼けしそうになる」
「胸が焼ける‥‥‥まさか、メイドである私に恋を?」
「黙れ」
「はい」
※
一緒に顔と歯を磨いてご飯を食べて、なんか自然と一緒に歩いて学校に来てしまった‥‥‥。はたして、ギャルになりきれるかな。
「ヘーイ!
「オ、オッハー?」
なんか昔のギャルみたいになってる!!そんでもって、
いや待てよ?
「ちょっ、マジ聞いてくんない?」
「どうしたの?」
「ウチさ、マジパナイこと聞いちゃった的な感じなわけ」
「うん! 聞かせて?」
あぁ、
昨日と全然キャラが違う
「マジ心臓飛び出ると思うけどー、心して聞いて的な感じ的なー」
「うんうん! 心の準備できたよ!」
「
「‥‥‥」
なななななななっ!!なに言っちゃってんのー!?!?!?!?今は絶対触れちゃいけない話題なんだけどー!?!?!?!?
「マジ、テンアゲして告っちゃいなよー。
「ほ、本当なの?」
「‥‥‥」
昨日のことがあって、それでも好きなのかって聞きいんだろう。
ここで本当って言ったらどうなるんだ?付き合えたりするのか?いや、友達ですらいれなくなったらショックで死んでしまう!!というか、今は絶賛絶交中なわけど、俺に聞いてくれてる今なら!
でも、みんなの注目が集まってるし、ここで振られたら尚更死んじゃう!!
「ま、また変な冗談言ってるだけだよ」
「あっそ」
やっちまったー!!!!
「えー? その反応、マジ本気チョベリバなんだけどー」
絶対チョベリバの意味分かってないだろ。いや、マジチョベリバなんですけどね。
「おはよー!」
C組の友達、坊主のぽっちゃりくん、
ギャル設定は明らかに失敗だ!!そもそもメイクもしないで、クールな見た目からは無理があったんだ。
「悪いんだけど、ちょっとジュース買ってくる」
「うん! いってらっしゃい!」
「いってら的な?」
「
「うぃー!」
「なにか問題ですか? あの男が来た途端ですよね。殺りますか?」
「やめろ!
「覚えておきます」
「それとお前、なに言っちゃってくれてんの?」
「マジそれなー! って、なにが的な?」
「ギャル終了。今は誰もいないからいい。あとウザいし」
「マジ無理なんですけどー。的な?」
「えっ」
「ていうかー、私も言いたいことあるって言うかー的な?」
「なんだ?」
「なんで好きって言わなかったわけー? チャンス作ってあげたのにマジ無くねー? みたいな的な?」
「それだよそれ! あんないきなりはダメだろ!
「いやいや、もう仲良くないじゃん的な? しかも恋は戦いじゃん? 挑まなければ勝つことも負けることもできないしー、挑んだ方がいいっしょ?」
「それっぽいこと言うな。ちなみに、もう既に負けてるから。まず、ギャルは失敗だ」
「だからなにって感じー。私ギャルだからー、アンタの言うこととか聞く筋合いない的なー。それよりいい考えがある的なー」
もう、的なって言いたいだけだろこいつ!!
「き、聞かせてくれ」
「メイドとギャルの友達がダメなら、ギャルメイドとかよくね?」
「なにその地獄」
「必要ならメイクと髪染めでしょ? あとピアス、全てやっちゃう的な感じでちょーウケるー!」
「ウケねぇよ!! おいメイド」
「はい、なんでしょう」
「俺がメイド扱いした途端に仕事モードに切り替わったな」
「当然です的なです」
「なにそれ気に入ったの? 悪いこと言わないからやめとけ」
「分かりました」
「とにかく、
「あぁ♡ 問題を起こした私は、ご主人様にお仕置きされちゃうのですねぇ♡」
「が、学校ではやめろって言ったよね!? 周りに誰もいないからよかっ‥‥‥
聞かれた!!あの厳しい木月先生に聞かれてしまった!!
「だ、大丈夫だ
「教師が全部青春のせいにしたらお終いですよ!!!!」
「あはは‥‥‥ホームルーム遅れるなよ。あぁーあ、本当引くわ」
「教師失格のセリフ吐いて行っちゃうのやめてくれます!?」
「
「んだよ!!」
「あの教師、殺りますか」
「殺るな! なんでそんな血の気多いんだよ!」
「主人である
「なにで得た知識か、今ならよく分かるよ。やめろよ?」
「分かりました。そんなことより、やはり私にはキャラを演じるなどできません。ご主人様はご主人様ですから」
「学校での呼び方は
「せめて、
「分かった」
「それと‥‥‥」
「ん? どうした?」
「学校での呼び方を制限するなら、私のことは下の名で♡」
「はいはい、
「
「わーお、んじゃ教室戻るわー」
下の名前で呼ばせて、ついでに変なこと言わせようとしてきそうな気配を感じ取れすぎて逃げてしまった。
それにやっぱり、鳴海との関係を取り戻すのは、簡単じゃなさそうだな‥‥‥。
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