第8話

見れば、彼女がにこやかに挨拶をしながら、こちらに向かって歩いて来るではないか、


「お早うございます」


 すれ違い様に言って、通り過ぎた時、


「もしかして、上原君!」


 振り返ると、笑顔いっぱいの彼女が私を見ていた。


「ひょっとして!」


 私の声は、緊張で少し上ずっているが、彼女はにこやかに笑って返事をしてくれた。


「はい!」


彼女に「上原君」と呼ばれた私の心は、一人ぼっちだった淋しさも、定年を過ぎた年寄りだという事も忘れて、五十年前のあの幸せな日に、翼を広げて戻っていった。

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同級生 まりも @marimo8877

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