第2話

喜んで迎えてくれるだろうと思っていた妻は、迷惑そうな顔をして口も聞いてくれない。


「長い間、ご苦労様」の一言もない。


単身赴任でずっと、家庭をおろそかにして来た自分が悪かったのだと思い、ぐっと、辛い気持ちを抑えていたが、ひと月もしない間に、


「好きな人がいるから、別れてほしい」


と言われた時は、谷底に落とされた気持ちになって、思わず涙を流してしまった。


「早く、ここにあなたの名前を書いて」


と急かされ、次の日には、家財からなにから、そして通帳まで持って行かれてしまい、私は何も無くなった家で、一人暮らす事になってしまったのだ。

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