王家の式典に呼ばれて
アシュレイは聖騎士団の仕事をしにシーザの城へ急いだ。朝から慌ただしく礼服に着替え、ミアムに謝りたいけれど、ミアムはあれから姿を見せなかった。ベッドメイクに来たのはキャベルだった。猛省してると伝えると、キャベルはわらって伝えておきますよと言っていた。
ルバートが今日は王家の遠縁の方が亡くなったのでその式に参列するだけですと一言言って肩についたホコリなどを払う。
「ミーシャよろしく頼むよ」
「はーい!」
馬車に乗り込んでミーシャが黒馬を引く、
この馬は軍馬落ちだ。
荘厳なシーザの城が見えてくる、城は
この男爵の館からはあまり遠くないところにあり、だいたい10キロメートルほどのところだ。
着きましたよとミーシャが明るく言って少し寝ぼけていたアシュレイは目を擦った。
城壁の中には聖堂もあり、そこに呼ばれる、まだ名前と顔が全員一致しない聖騎士団の連中と久しぶりの顔合わせだ。
「久しぶりーアシュレイ元気してた?」
金髪おかっぱフェリクスが話しかけてくる
「気分最悪」
「あ、もしかして振られた?」
「なんでわかるんだよ」
「そうなの?適当に言ったのに!」
気不味い風にフェリクスが引き下がると、
リアぜハロールが女性などたくさんいますよと
一言いって微笑んだ。
エーゼンはザマアミロとでもいわんばかりに笑っていた。こんな場所で怒ってはならない。
ぐっとこらえて参列者が花を手向けていくのをただ剣を持ち眺めている仕事。
こうして、多くの人々から別れを惜しまれる最後を送る人々もいればアシュレイの姉のように誰にも看取られずにひっそりと死んでいく人がいる。
その違いを嘆いても、時は過ぎていく、人は成長していく、人は忘れていく、
アシュレイはそんなことを考えながら剣をかざしていたので、おいぼうっとするなと注意された。
参列者の中に侯爵夫人、ルチアの姿を見つけた。
アシュレイには気づかなかった様子で、そっとハンカチで目を押さえて花を手向けてさって行く。
唯一無二の存在が、いなくなってしまった悲しみは、振られたばかりのアシュレイにもよく分った。
アシュレイの家に芳香剤を大量に持込んだ例の騎士は見当たらなかったから、どこにいる?と聞いたらあいつはドラゴン退治に行ってるよとフェリクスが教えてくれた。ルースの姿もない。
それから円卓に呼ばれ女王陛下と談笑し、女王陛下は初めてアシュレイに事の顛末をはなした。
「あの子のことで私は責任をとった形になったわ
あなたに引き渡してしまったけれど、うまくやっていけるのでしょう?」
やかたの経営はうまくいっている、はいと答えると、良かったと言って女王陛下は胸を撫で下ろした。そうして出会った、例のあの女と。
こいつだ!という確信があった、着飾った小柄な美女、肌は蜜のように、艶髪で、大きな宝石を身につけダチョウの羽の帽子を被り紫色の派手なドレスに身を包んでいる。
シャナリシャヤリとしてさっていった、女王陛下があとからあの子よと教えてくれた。
男爵の館でスローライフ 斉藤なっぱ @nappa3
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