メイドミアムの一日

 茶色い髪の毛を縛りミアムは鏡の前でメイド服に着替え朝五時には起きだす。台所に行って何か食べるものをつまんでそのあとトイレ掃除に出かけ簡単に済ませる。毎日のことだから滅多に汚れていないのだ。それから簡単に玄関の掃除。そのあと坊ちゃんを叩き起こしてベッドメイク。部屋を片付けシーツと枕カバーを取り換えゴミを拾いそれから坊ちゃんの朝食、執事がやっていることもあるが忙しいときはやってないのでミアムが朝食を作っていることがある。昔はシェフがたくさんいて、従業員のまかないをよく作ってくれた。そんなことを思い出すのだが感傷に浸る暇はない。キッチンを綺麗にしてそれからモップ掛け、洗濯。掃除しなくてもいいと言われたが一応ゲストルームのほうも水拭きしておく。そうしたら昼になり従業員と昼食を取り一時間ほど雑談したあとまた掃除に戻る。牛小屋の掃除を終えたミーシャがやってきて手伝ってくれることもある。執事もゴミ集めなどをやってくれる。役に立たないのはスラッシュである。今日も階段に座ってサボっていたのでしかりつけた。


「スラッシュ!あなた仕事はどうしたの!」


「ひと段落着いたんだよ」


「そういっていつもさぼるくせに!」


「そうだミアム、スイートピーが咲いたんだ綺麗だよ、リビングとか坊ちゃんの部屋に飾って」


 そう言って差し出したスイートピーの花束を受け取ってミアムはやれやれとため息をついた。あの庭師は花を育てるのは才能がある。綺麗なスイートピーの花に鼻を近づけくんくんと匂った。昔は庭師ももっと腕のいいのがたくさんいた。今では彼が一人ここに残っているだけなのである。綺麗なガーベラの模様の花瓶にスイートピーを飾って水を張る。花がある生活とはいいものだ。ほっと溜息をついてさてお掃除と気を取り直して出かける。この屋敷は一人で掃除するには広すぎてとても一日では終わらない。移動するだけで大変なのだ。洗濯物を取り込んでたたむ。坊ちゃんと従業員全員分の洗濯だ。洗濯籠に入れて清潔になった洗濯物を持ち運びそうしている間に夕方になる。そうして坊ちゃんの夕飯が終わったらお風呂の準備をして自室に行きやっと自分の時間が取れる。こうしてミアムの時間は過ぎ去っていく。気づけばもういい年ごろになってしまった。気づいたときからここの女中のしたで小間使いをしていてミーシャと同じく両親はいなくて帰る家もなくここで一生を過ごすことが決定している。アシュレイが読み終わった新聞などを広げながら恋人募集などの記事を読む。


「うちにはおじいさんとスラッシュしかいないんだから…」


 クタクタに疲れて就寝する。一本だけもらったスイートピーが暗い部屋で佇んでいた。

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